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2012/04/29

峰不二子という女 ー 慶祝脱宮崎ルパン

新しいルパンの話をしたい。















「LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜」第1話を見て、そのすばらしい出来と、予想もできなかった方向性の提示に驚いてしまった。「LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜」は、40年かけてでき上がった「ルパン的ななにか」=ルパンのパブリックイメージをものの見事に打ち壊し、<新しいルパン>を提示している。とりわけなかば定着していた「ルパン=宮崎駿」の匂いが微塵も感じられないのが、すばらしい。
宮崎駿は、この番組を見て数分でふん、と鼻を鳴らしてテレビを消したことだろう。

まず、画づくりがいい。暗く、汚い画面なのがいい。
一定しない描線、意図的にラフなカゲ線を多用してわざわざ画面に汚しをいれて暗い画面を作っている。
汚れて見える画面は、菊地成孔のJazzとも相まって、どこかしら70年代的な郷愁を誘う。
でありながら、レトロ感はない。
むしろ、トンガッた映像とさえ言える。















これは、現在の日本アニメに対するアンチテーゼである。
アニメ制作はデジタル化されて以降、アニメの画面は概ね綺麗になってしまった。
昔は、動きのががたつき、セルアニメ特有のゴミやホコリ、作画の破綻などで、汚ないアニメがたくさんあった。「宇宙戦艦ヤマト」や「マジンガーZ」など、今見返すとおそろしくラフである。
セル作画からPC上での作画に移行、1コマずつ撮影するフィルム撮影がなくなって、デジタルで処理されるアニメは圧倒的にきれいな映像になった。
おまけに描線がきれいで、カゲ線もつかない、あっさりしたキャラクターがイマドキのアニメの主流になっている。
で、似たようなアニメばかりになっている。市場をリサーチして財布の紐がゆるい層に向けて企画を立てれば、そうなる。

「LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜」は、そういう流れを無視して登場した。<萌え>とは真逆の粗いタッチと暗さの多用で。
キャラクターデザインと作画監督は、小池健。マッドハウスで川尻善昭監督の下で仕事をしてきた実力派で、アメコミの影響が強い、クセのある画を描く人である。これまでのどのアニメ版ルパンとは異なるタッチは、好き嫌いがわかれると思う。
おれっは、大好きだ。

見て、もしかしたら出崎統監督へのリスペクトがあるのかな、と感じた。映像表現で、虫プロの「あしたのジョー」のスタイルを取り入れているのではないか。
暗さの表現、荒々しい描線、カゲ線。
マッドハウスは出崎統が設立したプロダクションで、川尻善昭も虫プロ−マッドハウスと行動を共にした。川尻善昭の師事した小池健は、出崎統のスタイルを継承しているという気がしないでもない。
















 「LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜」は、映像としてとても印象的でインパクトがある作品になった。
それ以上にインパクトがあったのはキャラクターの設定だ。
今までのルパンとは違って、どの登場人物も「悪漢」であり、インモラルであり、暗さを内側に湛えている。画面の暗さと登場人物が呼応しているのだ。
ルパン、次元、五エ門、それぞれが陰影に富んでいる。
銭形警部もダークな顔を隠さず、女泥棒と寝るゲスっぷり。 しかも、バイ・セクシャルであるらしいことも暗示されている。
そして、峰不二子。自分の美貌と肉体を武器にする女。目的のためなら平気で男と寝る。そんな様をしっかり描写している。

「ルパン三世 カリオストロの城」以降、世間で定着したルパン像=心優しき義賊というパブリックイメージ、宮崎駿が描いたルパンに決別したことには快哉を叫びたい。

<悪>であること、背徳と放埒と自由、ルパンなのだから。


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