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2012/04/23

宇宙戦艦ヤマト2199についての邪推

「宇宙戦艦ヤマト2199」の第1話を観た。
面白い。興奮した。
とても丁寧に作られており、テンポが早くて旧作よりも情報量がぐっと増えた。
旧作への敬意も感じられるのも、とてもいい。
個人的には、旧テレビシリーズからの大胆な再構築を強く希望する。旧作をキレイな画でトレスしただけでは面白くない。物語も変わるべきだ。
とくに、ヤマト一隻でガミラス帝国が滅ぼすというような筋立ては変えるべきだと思う。
(そのへん、ガミラス側の配役に何らかの仕掛けがあるような気がする。Galectica的ななにか)

さて、今回のエントリーではクレジットを見て気になったことを記したい。
これがエンドクレジット。


企画に石川光久の名がある。















「宇宙戦艦ヤマト2199製作委員会」のなかに、プロダクションIGとジーベック(XEBEC)が加わっている。プロダクションIGとジーベックは石川光久が社長をつとめる「IGポート」のグループ会社である。

ジーベックは、「宇宙戦艦ヤマト復活篇」でアニメーション制作を担当したが、制作費未払いの憂き目に遭った。

『宇宙戦艦ヤマト 復活編』の制作費未払いのせいで、アニメーション制作会社XEBECが倒れそうな件について

当社の子会社である株式会社ジーベックが、制作の一部を受注いたしました劇場用アニメーション作品の制作費の一部146 百万円の売掛債権が、再三にわたる督促にも係わらず、発注元より支払いがなされておりません。そのため、発注元の状況等を検討の結果、制作費146 百万円につき貸倒引当金を計上する見込みであります。当社グループといたしましては、今後、法的手段も含めまして、回収に努めてまいります。

ここで宣言されているとおり、1億4千6百万円の未払いは満額とは行かないものの半分以上回収ができたようだ。

特別利益の発生及び業績予想の修正に関するお知らせ

また、「宇宙戦艦ヤマト2199」にプロダクションIGとジーベックが制作者として参加を果たした。アニメーション制作も当初担当するはずだった南町奉行所や東京キッズの名が外れてジーベックとAICへと変更された。
石川光久というひとはタフ・ネゴシエーターとして知られる辣腕プロデューサー。
未払金回収交渉と同時に、「宇宙戦艦ヤマト2199」に関与し、権利を獲得していったのではないか。
としたら大したものだ。
なお、企画でクレジットされている「西崎彰司」は西﨑義展の養子で「宇宙戦艦ヤマト復活篇」を制作した株式会社エナジオの代表取締役である。エナジオの名は「ヤマト2199製作委員会」のなかにはない。制作費未払いとの何らかの関係があるのだろうか?
あるいは「ヤマト2199製作委員会」にクレジットされている西﨑義展の持っていた会社「ボイジャーエンターテインメント」名義で参加しているのだろうか。



「復活篇」とは違って、「宇宙戦艦ヤマト2199」はコンテンツとして優れている。市場価値も高いのではないだろうか。
また、プロダクションIGは良い作品を創ろうとする姿勢がしっかりしている。現場のクリエーターを尊重している。
だから、新しいシリーズには期待ができる。

西﨑義展、松本零士の関与がなくなり、「宇宙戦艦ヤマト」に新しい道筋がつくだなどと誰が想像できただろう?
まして、「攻殻機動隊」を制作した会社とプロデューサーの手になる新作を目にする日が来るだなんて・・・

ただ、「宇宙戦艦ヤマト2199」が若い人を吸引できる作品になるのかどうか。
それはわからない。
90年代、ゼロ年代と、「人類救済」などという<大きな物語>はすっかり廃れてしまって省みられなくなった。
「新世紀エヴァンゲリオン」の大ヒット以降、「セカイ系」が席巻している。セカイ系とは「「主人公(ぼく)とヒロイン(きみ)を中心とした小さな関係性(「きみとぼく」)の問題が、具体的な中間項を挟むことなく、「世界の危機」「この世の終わり」などといった抽象的な大問題に直結する作品群」を指す。で、セカイ系の物語は、大抵の場合、世界の命運は主にヒロインの少女に担わされる。「戦闘を宿命化された美少女(戦闘美少女)と、彼女を見守ることしか出来ない無力な少年」という構図のおはなしが多い。
そういった物語を消費する人たちにとって、「宇宙戦艦ヤマト2199」は手が伸びないんじゃないかと思える。
「宇宙戦艦ヤマト2199」は基本、スペースオペラなのだ。1920年代に生まれ、40年代にはやった古くさい宇宙冒険活劇に源流がある。しかも、「地球を救う使命を帯びて 戦う男燃えるロマン」だしな。
さて、若い人は食いつくのだろうか?

あ。案外、セカイ系のヤマトになったりしてな・・・

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