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2020/07/24

『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』は旅立たず。

時に西暦2020年2月、新作アニメ映画『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』と、TVシリーズ『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』を再編集して新作カットを加えた映画『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』制作と公開がアナウンスされた。
この頃は、新型肺炎の感染拡大によって世界が、そしてアニメ界も大きな影響を受けるとは、誰も思わなかった。

『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』公開は、「ネクストウィンター」だという。
映画『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』は「今秋」 と発表されている。詳細な日時はまだ告知されていない。

「宇宙戦艦ヤマト:次回作「2205」は「短期決戦」 公開は「ネクストウィンター」 福井晴敏が明かす」

2020年2月3日
https://mantan-web.jp/article/20200203dog00m200079000c.html


「宇宙戦艦ヤマト:次回作「2205」は「短期決戦」 公開は「ネクストウィンター」 福井晴敏が明かす」
説明を追加



これ以降、製作者サイドからは作品についてのインフォメーションは出ていない。

公式ウェブサイトも(2020年7月末時点では)まだオープンしていなくて、ほかのプロモーションも行われていない。


制作会社が運営する『宇宙戦艦ヤマト2202』の公式サイトにも新しい情報は出ていない。
約半年、新作の情報は出ていない。

映画興行や演劇、音楽のライブイベントについて今年の秋以降、来年あたりまでの様々な情報が発表されている。
中止、延期、ライブからネット配信への変更などの告知である。
今年最大の話題作
動向を気にしているお客さんのことを考えれば当然するべきことだ。

しかし、ふたつの新しい『ヤマト』については情報がない。
その理由を考えてみよう。
あくまで仮説であり妄説なのだということはお断りしておく。




『ヤマト』新作の情報がない理由


1)ヤマトファンを焦らす、高度な戦略かもしれない

まず考えられるのは、宣伝活動として、意識的に仕掛けているのかもしれないということ。
発表する情報を絞りつつ〈驚くような展開〉があることを匂わせて期待感を煽る「ティーザー」を仕掛けているのかもしれない。
『スター・ウォーズ』や『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ:エンドゲーム』はじめ、ハリウッドのブロックバスターがよく行う手段だ。
それかもしれない。
例えば、『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』の公開前。監督のルッソ兄弟は、「衝撃に備えてください」という言葉をソーシャルメディアに流し、ファンにある種の「覚悟」を迫った。マスメディアはそれを取り上げて、映画への期待、それ以上に不安が世界のファンを覆った。
この焦らす手法を採用し、宣伝しているのかもしれない。
だとしても、「匂わせ」「じらし」の何らかのインフォメーションは出すべきである。
この地雷手法に業を煮やしたのか、一部のヤマトファンが、ソーシャルメディアで宣伝活動をしているものの、拡散も炎上もないのが現状だ。
『宇宙戦艦ヤマト2199』で拡大した『ヤマト』のマーケットだが、『宇宙戦艦ヤマト2202』の失敗で、マーケットは縮小してしまった。


2)人手不足・カネ不足で情報発信ができない可能性

『ヤマト』の制作会社(「ボイジャーエンターテインメント」だったか)が人手不足、社員の能力が低いなどの理由で、作品に関する情報の更新に手が回らない。
なので、情報発信もままならないという可能性がある。
カネがなくて、宣伝を委託しているPR会社もしくは広告代理店、ウェブ制作会社に発注ができない。
宣伝を委託する外部会社と揉めていて情報の更新が止まっている。
たとえば、不払いが原因で。
『ヤマト』は旧作時代から金銭トラブルが多かった。養子となって権利を引き継いだ人も、その悪しき習慣をも継承したのだろうか。

カネを使った宣伝ができないとしても、公式ウェブサイト更新やSNSを使った情報発信はできると思うけれども、していない。
ネットを使った宣伝施策に懐疑的なのかもしれない。
ボイジャーエンターテインメント株式会社のあまりにも味気ない企業ウェブサイトを見ると、そんな気もする。
「製作委員会」には広告代理店やら他の企業のマーケティング専門家などが参加していないんだろうか。

3)制作延期もしくは制作中止になった可能性。

『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』と『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』制作中止、または延期が検討されているか、すでに決定している。

その可能性は高いと思われる。

秋もしくは冬の公開が決まっていたとすれば、アニメ制作が要する期間から考えると、かなり制作が進行していたはずである。
制作が中断したら、制作再開後の見通しや公開スケジュールの見通しなど、何らかのインフォメーションがあってもいいと思うが、2020年7月末時点でそんなものは公には出ていない。

1月中旬に始まった新型環状肺炎ウイルスの感染拡大。
日本もその例外ではありえず、アニメ業界も大きな影響が出た。海外依存度の高いアニメ制作、声優が集まることが濃厚接触となるアフレコなどがストップし、1月放映のTVアニメの放送休止および中止や延期が続出した。

当然、4月・7月・10月放映開始予定のアニメ制作にも大きな影響が出ている。

2−5月の「自粛」により、アニメの製作時期がずれ込んで、おもにテレビ放映の作品の放映/配信/公開時期が変更された。

新型コロナウイルス情勢・対応

アニメ制作の時期のズレによって、作品によってはアニメーターを確保できない作品も出るだろう。1月・4月に放映するはずだった作品の制作が遅延した影響で、夏、秋、冬、2021年以降の作品もスタッフの確保、スケジュールづくりに苦労している。
では、『ヤマト』はどうなのか。
インフォメーションがないので、楽しみにしている人は不安だろうと思う。

新作『ヤマト』がどこまで制作が進んでいるか、新型コロナウイルスの影響をどの程度受けているのか、さっぱりわからない。

4)「ヤマトマーケット」縮小により、制作中止の可能性。

この作品の制作中止と予想するもう一つの理由は、『宇宙戦艦ヤマト2202』が引き起こしたヤマトファンの大量離脱の影響である。
『宇宙戦艦ヤマト2199』のファンを引き継げず、ファンが離れた。

『宇宙戦艦ヤマト2202』は「あさって」に行ってしまった作品である。

ヘンな紋様がついた戦艦やダニのようなパワードスーツやヤマト型でセンス最悪の「銀河」とかメカの描写に時間が使われてストーリがそのぶん雑に削り取られてしまった。
人物の描写は、メカ描写に時間が取られたぶん、少なくなった。
少なくなった時間は、新登場登場人物重視に時間を使われて、メインキャラクターの描写が著しく減少した。古代も森雪も真田さんもモブみたいに目立たなくなった。

クライマックスがすごい。
というか、ひどい。

ベースとなった『さらば宇宙戦艦ヤマト』の超巨大戦艦への特攻・散華エンディングを、〈高次元世界〉だかに突入というスピリチュアルな場面に書き換えるという、ヤマトファンが想像もしなかった地平に到達した。

『宇宙戦艦ヤマト』旧シリーズは『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』が43億円の興行収入。これが興行のピークで、続篇は動員が減っていった。『宇宙戦艦ヤマト 完結編』の興行収入は17.2億円。
『完結編』から26年後の2009年に公開された『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』は興業的に惨敗を喫して興行収入は3.9億円。

『宇宙戦艦ヤマト2199』は
「イベント上映」「パッケージソフト(Blu-ray)「TV放送」「配信」と順次展開してトータルでは100億円を超える経済効果を生み出した。
旧シリーズで離脱したファンが戻った。

しかし、『宇宙戦艦ヤマト2202』では離れた。
DVD/Blu-rayの売上は『2199』から半減近くとなり、プラモデルの数はとても少ない。
『ヤマト』にカネを使ってくれるお客さんが減ったのだ。
普通、こういった場合にはマーケットリサーチをして、新作にGOサインは出さないと思うが、製作者たちはヤマトファンからまだ搾り取れると判断したようだ。
『宇宙戦艦ヤマト2202』『宇宙戦艦ヤマト2205』は新しいファンがほとんどいない、旧作からのヤマトファンの一部の人々に支えられる作品である。
何年かのちには、ファンがいなくなる、時限マーケットによって成り立つ作品だ。
コロナ禍の影響や、「製作委員会」参加企業が減った、なにより想定できる顧客=ヤマトファンの影響を鑑みての「制作中止」もあるのではと予想する。

とはいえ。
『宇宙戦艦ヤマト2205』がきちんと公開されたらいいですね。
続くのは『ヤマトよ永遠に』『完結編』『復活篇』のリブート、『復活篇第2部』なんですから。それまでヤマトファンが存命かどうか、わからないけれども。
『ヤマト・ビジネス』は新規顧客がいないので、既存客からふんだくるだけふんだくるビジネスなのだ。「『ヤマト』にカネを使うのは税金と同じ」などというファンがいるかぎり、ある程度儲けることができるんだろう。

ああ楽しみだな『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』。

2017/03/15

宇宙戦艦ヤマトの堕落史0|墓碑銘

「宇宙戦艦ヤマト」から「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」に至る歴史について語りたい。
西崎義展のプロデュースで作られた「ヤマト」について、個人的な見解をもとに変遷を辿っていこうと思う。

「宇宙戦艦ヤマト」の歴史とは、汚濁の歴史である。
「宇宙戦艦ヤマト」の歴史とは、失望の歴史である。

「ヤマト」を語ることとは、最初のTVシリーズにあった美点が失われ、無視され、汚されていった堕落の道筋を辿っていくことである。
製作者の意向で作品世界は書換えられ、設定は捨てられ、死者は蘇り、構築された作品世界は反故にされる。
「ヤマト」は、そんなことを繰返した。

「宇宙戦艦ヤマト 劇場版」公開当初、この映画は「愛」もしくは「宇宙愛」だとか「和」を描いたものだとか高尚そうに語っていた西崎義展は、大金をせしめてからというもの、本性を現した。
「赤坂のデスラー」と呼ばれ、赤坂で豪遊していたという。
儲けたお金でクルーザーを買い、銃火器を買って女を連れて海に乗り出した。覚醒剤を買ってキメたところを警察に捕まり、獄につながれた。
実写版『Space BattleShip ヤマト』の高額な映像化権料で買った船から海に落ちて不帰の客となり、養子・西崎彰司が権利を手に入れ、続篇に手を染めた。

『宇宙戦艦ヤマト』ファンは、最初の「宇宙戦艦ヤマト」の面影を追いかけて映画館に足を運ぶ、もしくはチャンネルを合わせては失望を味わうという繰り返しだった。
しかし、ファンとは汚濁も失望も呑み込んで、ファンであり続けた。





2015/10/03

西崎義展と宇宙戦艦ヤマト Part3

西崎義展はアニメが好きだったんだろうか?

アニメ制作の現場を理解していたのだろうか?

西崎義展は会議魔だった。
かつて西崎義展プロデュースの作品に参加したスタッフは、口を揃えて述懐する。
スタッフを集めての、会議に次ぐ会議。
映画館での上映、テレビ放映、いずれも期限が決まっている。
当然のことながら動画制作に充てられるべき時間が圧迫される。
当然の事ながら絵が荒れ、作画や撮影のミスは省みられることはなく、当然の結果としてアニメとしては質の低いものになってしまう。




山本(弘) 西崎義展からすごいしつこい電話かかってくるんだよね。「ぜひSF設定お願いしますって」
岡田(斗司夫) デスラーみたいな声で(笑)
山本 とにかくこっちは忙しいから、なんとか断ろうと思うんだけど、向うは押してくる。「とにかく設定書を送ります」って。
ヤマトが新たな人類の移住先を見つけなくちゃいけないっていうんで、銀河中心に行ったら、銀河中心にUSA的大国がある(笑)。ちゃんとその企画書に 「USA的大国」って(笑)。で、そいつが銀河の国連を牛耳ってて、小国をいじめてる。で、ヤマトが「八紘一宇の精神を発揮して」…(笑)。
岡田 で、表紙見たら「原案/石原慎太郎」って書いてあったっていう(笑)。

岡 田 俺ね、前田真宏が『YAMATO2520』始めた頃にヤマトスタッフルームへ遊びに行ったんですよ。とにかく『ヤマト』の設定っていうの、僕も見たくて見 たくてしょうがなかったから(笑)。「真宏君、ヤマトの設定見せて!」って言ったら、全員顔を見合わせるんですよ。「なにかな?」って思ったらね、なんか すっごいデカいキャビネットをバカッーッと開いたら、180センチくらいの紙が積んであるんですよね。「うわぁ〜っ!!」って思ったら、そのドアに 「1」って書いてあるんですよね。キロじゃなくて、トンで計るくらいの紙が…。ものすごかったですよ。とにかく、どこ見ていいかわかんないですよ。結局、 西崎さんって10何人でやってるブレインストーミングとかを、全部テープ起こししてるんですよ。
だから、大阪教育大学の堀江純さんとかそういうふうな人たちで。で、僕らとかでこういうふうにバカばなしする時でも、とにかく『ヤマト』のアイデアになってる。
その辺ではね、あの人はやっぱ超一流のプロデューサーだとは思いますよ。
全部テキスト化して、全部残してる。
コンテ切ってる最中に「組み立てドックの設定が…」って言ったら、「あーっ、これ、7年前に小林誠さんが描いたやつだ!宝庫ダナ!」って言って(笑)。もう、ホントに180センチぐらいあって。
山本 なんか、ありとあらゆるアイデアがあそこに詰まってるんじゃないの?
岡田 それぐらい分量がある。で、それぐらい一つ一つのアイデアが使えるんですよ。

(1999年『封印ー史上最強のオタク座談会』岡田 斗司夫+ 山本 弘+ 田中 公平、音楽専科社 (1999/07)

西崎義展は会議に時間を費やしては作品に関する情熱を語り、作品の設定にも時間と労力とお金をかけたことがよくわかる。
これは、アニメに関する権利をプロデューサーに集約するという点でも必要だった。

しかし、最終的なアウトプットたるフィルムは、質が低い。これが西崎義展が手がけたアニメの特徴だ。




2012/05/15

ヤマト復活篇第2部とアニメビジネスの明日

「宇宙戦艦ヤマト復活篇」公開時にできた「ヤマトクルー」というファンクラブがおもしろいプロモーションを展開した。
無料会員に向けて印刷物の会報「宇宙戦艦ヤマト航海日誌創刊号 Vol.0」を送付したのである。pdfだとかブラウザで読める電子書籍ではなく、紙のメディアを送ったのだ。
会報はほんらい、有料の「プレミアム会員」向けサービスで、その誘い水である。
紙の会報を送付したというのは、ファン向けの策としていいところを突いていると思う。
「宇宙戦艦ヤマト2199」が公開された。イベントや上映の動員を見ると、この作品を支持しているのはオールドファンだとわかる。
彼らは、TVシリーズ、映画、復活篇、2199と断続的にヤマトをフォローし続けている。とてもロイヤリティが高い。
オールドファン a.k.a 第1世代おたくは、世代的な特徴として紙媒体がとても好きだ。紙をめくってじっくり読むことと、読み終えた後で<資料>として保管するのが大好きである。(本は2冊入手して「読書用」「保管用」にするという人が多くいた。おたくをやるのはカネがかかるのだ)好きが高じて同人誌を作るものもいた。
だから、会報を送ったというのは、彼らのハートを絶妙にくすぐるのだ。ヤマトファンで会報を受け取った人のブログをいくつか読んでみたが、おおむね好評のようだ。
紙でヤマトの情報に触れる喜びは、また別格だと思う。

「宇宙戦艦ヤマト2199」の第1話・第2話が劇場でイベント上映され、DVD/Blu-rayの発売も間近だ。
この新作は、いったい誰に向けて作られているのだろうか?総監督・出渕裕はインタビューでこのように語っている。

出渕監督 「『宇宙戦艦ヤマト』の第1作目は、30年以上前の作品になりますが、決して古い作品ではなく、今の時代でも十分に通用する作品だと思っています。その作品を、さらにブラッシュアップすることで、今ならこういう形で表現してもいいんじゃないかと思って作っています。ですから、押さえるところはきっちり押さえて作っていますので、昔からのファンの方にも納得していただけると思っていますし、初めてヤマトに触れる方も新鮮な気持ちで観ていただける作品になっていると思います。食わず嫌いではなく、まず一度観て、そこで面白いかどうかを判断していただければと思っています。よろしくお願いします」

出典:出渕裕監督が語る新たなるヤマトの魅力 - 『宇宙戦艦ヤマト2199』、
   4月7日上映開始


 オールドファンに目配りをするとともに新しいファンの開拓を目論んでいる。
しかし、実際のところ古参ファンが中心になりそうだ。映画館に詰めかけた人たちの年齢層がまさにそうだ。「ヤマトクルー」への書き込みや、Amazonに書かれたレビューを読んでみても、どうやらコアなファンはオールドファンなのだろう。ちなみに、「ヤマトクルー」の書き込みはなかなか面白い。好きなこととなると饒舌に甲高い声で語り、掲示板やらブログやらで長々と書く。そういう昔ながらのおたくっぽい熱が充満している。
現在のアニメの主流は<日常系>だという。若い世代のアニメファンは「地球を滅亡から救う」という<大きな物語>には関心がないみたいだ。
「けいおん!」「日常」「坂道のアポロン」のような作品を見る人たちが、ヤマトのような古くさい作品に目を向けるだろうか?
声優さんのファンが多少は付く可能性はあるけれども、熱狂的に支持する若者たちの登場は期待できないと思う。

「宇宙戦艦ヤマト航海日誌創刊号 Vol.0」では、西﨑義展の養子、エナジオの代表・西﨑彰司が「宇宙戦艦ヤマト復活篇第2部」製作を発表している。
いや、驚いた。本当に製作するのだ。
DVD・Blu-rayのセールスが好調なのだろうか?「宇宙戦艦ヤマト復活篇ディレクターズカット」がよく売れたのか?「宇宙戦艦ヤマト2199」の予約が好調なのか?
たぶん、その通りなんだと思う。ソフトの売上/予約を分析した結果、「第2部」のゴーサインを出したんだろう。「ヤマト」はロイヤリティの高い顧客(忍耐強くもあるが)が一定数いて、その顧客層から収益を確保できると踏んだのだろう。
アニメのリメイクはけっこう色々なタイトルで試みられてきたけれども、再ブレイクを果たせずひっそり埋もれてしまった作品が多い。
「ヱヴァンゲリヲン」のような成功は稀だ。当初からのファンに加えて新しいファンも獲得できた点はすごいことだと思う。単なるリメイクではないのもいい。
過去、熱狂的に支持されていた作品でも、時が経てば忘れられていく。
その点、「ヤマト」は十数年のブランクをものともしないファンがいる。これは素晴らしいことだと思う。「ヤマト」は色々な瑕疵があるにも関わらず、いや、だからこそファンが付いたというところもある。松本零士の作品では「999」や「ハーロック」は何度かリメイクされているものの支持を受けず、徐々に忘れられていく過程にあることと比較すると、作品の生命力の違いを痛感する。

「宇宙戦艦ヤマト復活篇第2部」「宇宙戦艦ヤマト2199」に注目したい。
もし両作品を支えるコアなファン層が40〜50代の中高年だとすると、 アニメビジネスの新たな展開の試金石となる。
中高年をターゲットにしたアニメビジネスが成立しうるかどうかを占える。
少子化社会となった日本では、アニメの新規顧客は少なくなっていく一方なのは言うまでもない。
アニメの送り手たちは、ビジネスとして生き延びるために、海外展開とともに国内では子供/若年層以外のマーケット開拓を考えているのだと思う。
ターゲットは、物心ついたときからマンガを読んでアニメを見て育った中高年層。果たして鉱脈足りうるか?
アニメのリメイクや、名作マンガのアニメ化はビジネスになるかならないか?
「ヤマト」の今後の展開は、示唆に富むと思う。

とはいえ。
「宇宙戦艦ヤマト2199」が売れなければ、たぶん「宇宙戦艦ヤマト復活篇第2部」は画に描いた餅で終わる。「2199」がビジネスで成功するかどうかは、今のところ不明瞭ではある。・・・ただ、パチンコが絡むとしたら、「2199」の成否に関わらず登場するかもしれない。

さて、おれ自身もヤマトのファンだ。

劇場版1作目、「さらば宇宙戦艦ヤマト」は初日に徹夜して並んだ。そのほか、映画は全部公開時に見に行った。ほとんど客がいなかった「復活篇」にも行った。
けれども、ソフトはほとんど持っていないし、音楽(ほとんどはカセットテープを購入した)は廃棄してしまった。
だから、見返すことがない。
かつてレンタル屋でTV第1シリーズや「さらば宇宙戦艦ヤマト」、「宇宙戦艦ヤマト2」のビデオを借りてきて見返してみたら、画面のあまりの汚さと作画の荒れ具合に嫌気がさして、見るのを辞めたことがあるからだ。

「ヤマト」については、思い出のなかに留めて、記憶の中で欠落したり内容が改変したっていくのをよしとしたい。おれは同級会にも一切出ないタイプだ。初恋の相手はあの時の姿のまま、心のなかにおいておく。
というわけなので、おれは中高年のアニメビジネスには貢献できない。