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2016/07/20

そして世界は静かに滅ぶ。 | 黒沢清『回路』

世界は終わっていく。

私たちは映画やマンガや小説を通じて何度世界の終わりを見てきたことだろうか。

私たちは映画を通じて数多くの破滅に立ち会ってきた。
とくにVFXが発展してからというもの、その機会はおおいに増えた。
映画は、数えきれないほど、破滅的な状況を描いてきた。破滅的な状況は大画面と大音響を駆使して描くには格好の素材なのだ。
世界は巨大な天災に見舞われ、異星人に侵略され、疫病が蔓延し、ゾンビが爆発的に増えて普通の人間を襲い、戦争が起こり、機械やコンピューターが人間に対して反乱を起こし、ヒーローは多大な被害を世界に及ぼしつつ闘い、世界は破滅の淵に立つ。

そして、いまや私たちは、世界の破滅的状況に食傷している。

 おもにハリウッドのブロックバスター映画において、世界は何度となく破滅に瀕する。
レンタルDVD店の棚には破滅がいっぱいだ。
特撮、VFXの進化および劇的な低コスト化と時間の短縮化によって、映画の世界での<カタストロフ>は増える一方だ。

かくして、カタストロフのバーゲン状態に飽きてしまった。
おまけに、ハリウッド映画は、破滅に瀕した世界を描きながらも、映画の最後には<希望のようなもの>が描かれる。何故か唐突に星条旗が映ったりする。

世界は破滅から救われる。
大抵そうだ。
ティーン・エイジャーも安心して見られるよう、残虐な描写、血の出てくるような描写はない。フォーマットに準拠したエンディングが用意される。
回避された破滅、家族は絆を確かめる。
ときに、「破滅をも跳ね返す強いアメリカ」を描いて終わる。
綺麗事で終わる見世物なのだ。

世界の終わりを魅力的に描くのはむずかしい。
世界の終りをきっちりと描いた映画は驚くほど少ない。
世界の終わりを魅力的に描いた映画も驚くほど少ない。





『回路』を観終わった。

「世界の終わり」を描いていた。
それに深く魅入られた。



考えるな、感じろ。『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』

かつて、『さらば宇宙戦艦ヤマト』というアニメ映画があった。

前作『宇宙戦艦ヤマト』では、地球はガミラスの遊星爆弾によって放射能汚染され、海も川も干上がってし、滅亡まであと1年と迫った。
『さらば宇宙戦艦ヤマト』では、地球がわずか2年で復興したばかりか、みんな繁栄に酔いしれて苦難を忘れているという描写があった。
世界の瀬戸際にあった世界が、たったの2年で復興し、繁栄を謳歌して堕落するというのだ。
時間や復興に関する観念がまるで異なる。
というよりも、ご都合主義のデタラメである。

『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』が公開された。
観にいって思い出したのが『さらば宇宙戦艦ヤマト』である。

地球は、20年前の1996年に異星人の侵攻によって人類の半分以上を喪った。
しかし、わずか20年後には復興して繁栄し、月面だとか木星の衛星に基地を作る。 『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』は、そういう世界だ。

『インデペンデンス・デイ』世界は、『さらば宇宙戦艦ヤマト』世界とつながっている。
前作の『インデペンデンス・デイ』のクライマックスでは、飲んだくれのパイロットが巨大円盤に特攻して反攻の突破口になるという下り場面がある。
これも、『さらば宇宙戦艦ヤマト』でヤマトが白色彗星帝国の超巨大戦艦に特攻をかけるクライマックスを連想させる。
若き大統領が、大演説をブッて自ら戦闘機に乗って異星人と闘うというのも、トンパチながら「愛」についていきなり演説をぶってみせた古代進につながる。






『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』が公開された。
1996年、30億人を死に至らしめたエイリアンの侵略があった。

それから20年後。
国連は地球外からの脅威に対する防衛組織として地球宇宙防衛軍を設立した。
率いるのは、ジェフ・ゴールドブラム演ずるところのデヴィッドである。
かつて、マッキントッシュのパワーブックでエイリアンを撃退して見せたデヴィッドが地球防衛の要となったのである。 人類はエイリアンから得たオーバーテクノロジーで武器や戦闘機などを開発し、地球防衛システムを構築して、その技術力は月面に基地を作るまでとなった。 しかし、エイリアンたちは地球を再び侵略する準備を着々と進めていた。 彼らは直径3000マイル(約4800km)の超巨大宇宙船とともに地球に侵攻してきたのだ。



2016/07/07

反復の『インデペンデンス・デイ : リサージェンス』

『インデペンデンス・デイ : リサージェンス』を観てきた。
すでに公開済みの国で観た。






SFXとVFXの20年のめざましい進歩を目の当たりにできる映画だ。
悪い宇宙人が巨大な円盤に乗って襲来して、正義に燃える地球人が闘いを挑むのだ。
スゴイよ!