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2012/04/18

テレビと日本凋落

おれは地上アナログ放送終了までブラウン管のテレビを使い続け、停波を見届けた。1988年に買ったビクターのテレビは思いのほか長持ちして、23年の長寿を全うした。
ただしブラウン管がダメになってしまったので色はきちんと出ず、画面は歪んでいたが、週に数時間視聴するかしないかの身には充分だった。
いま使っているのは、イオンで買ったPRODIA製32型液晶テレビだ。録画機能を備え、320GBのHDDも付属して39,800円。


iPadより安いっていうんだから、驚きだ。
まあ、テレビはタブレット端末の市場価値に及ばないものに成り下がったということななろうけれども。

このような無名メーカーのテレビはもともと安かった。海外で部品を調達し、海外の提携企業で組み立てて日本に持ってくるから。
しかし、国内のメーカーのテレビも安くなってきた。
量販店でテレビ売り場に行くと、AQUOS、REGZA、BRAVIA、VIERAといったブランドがバカみたいに値下がりしている。だって、32型が、2万5千円を切り、40型が3万円台、55型の3Dテレビが20万円を切っているという有様だ。
しかも、それでも売れていない。
2011年に国内で売れたテレビの台数は2,500万台。日本のテレビ市場は年間1,000万台で推移している。「地デジ移行」によって利益を先食いしちゃったから、きつい反動が来ている。
せっかくエコポイント下駄履かせてもらった効果もあっという間に消えてしまったのか、
テレビを作る企業がひどいことになっている。


ソニー赤字 過去最大 3月期見通し 電機3社総崩れ

ソニーは十日、二〇一二年三月期連結決算の純損益の赤字額が従来予想の二千二百億円から五千二百億円に拡大するとの見通しを発表した。米国のテレビ事業が振るわず、タイの洪水で商品の供給の遅れが出たことなどが要因になった。純損失の計上は四年連続で赤字幅は過去最大。
シャープもこの日、一二年三月期の純損失が、従来予想の二千九百億円から三千八百億円に拡大するとの見通しを発表した。パナソニックも七千八百億円の純損失を計上する見込みで、デジタル家電事業を主力とする電機各社は総崩れの状態となっている。
ソニーのテレビ事業は、国内に加え米国でも韓国メーカーなど海外勢との価格競争が激しくなり、一二年三月期に八期連続の営業赤字を計上する見通 し。加藤優最高財務責任者(CFO)は十日、東京都内の本社で記者会見し、巨額の赤字について「(経営陣として)重く受け止めている」と述べた。


今後はグループ従業員を一万人規模で削減することなどにより、収益の改善を目指す。加藤CFOは「聖域なき改革を断行していることの一面」と話 し、リストラを進める考えをあらためて表明。その一方で一二年三月期の売上高を六兆四千億円、本業のもうけを示す営業損益を九百五十億円の赤字とする従来 の予想は維持した。これに対しシャープは一二年三月期の売上高の予想を従来の二兆五千五百億円から二兆四千五百億円に一千億円引き下げた。テレビ事業の不振に加え、タブレット端末向けなどの液晶パネルの出荷遅れなども響いた。


パナソニック、'11年度は過去最悪7,800億円の赤字見通し
-「TVの赤字が他の黒字を相殺」。20型4Kは'12年第4四半期

日本国内市場では、地デジ移行の反動でテレビが売れない。
それだけではなく、世界市場でも韓国のSamsung、LG電子の後塵を拝するばかり。


テレビ市場が減少に転じる、ブランド別では韓国勢と日本勢で明暗くっきり
2011年第4四半期(10~12月)における薄型テレビの売上高ベースの上位ブランド別シェアは、韓国のSamsung Electronicsが26.3%を獲得しトップを堅持した。 同年第3四半期(7~9月)の23.0%から、さらに3.3ポイント拡大している。NPD DisplaySearchによると、この26.3%というシェアは調査開始以来、全ブランドの実績で最も高い数字だという。パネル種別でみても、 Samsungは液晶テレビとプラズマテレビの両方でトップシェアだ。NPD DisplaySearchの調査開始以来、プラズマテレビでパナソニック以外のブランドが首位に立つのは今回が初めてだという。
ブランド別でSamsungに続く第2位は韓国LG Electronicsでシェアは13.4%、第3位はソニーで9.8%だった。さらに日本勢がパナソニックの6.9%、シャープの5.9%と続く。
各ブランドの前年同期(2010年第4四半期)比の売上高を見ると、韓国勢2社はSamsungが18%、LGが2%とともに増加している一方、日本勢 3社はいずれも大きく減少した。ソニーが最も落ち込みが大きく、34%も低下した。パナソニックは19%減、シャープは30%減である。
テレビ市場ではソニー、パナソニック、シャープ3社が束になってもSamsungに勝てない。しかも日本のメーカーが液晶パネルをどこから調達しているかといえば、SamsungやLGだったりするのだ。
ほかの家電製品でも劣勢は否めない。
とくにスマートフォンやタブレット端末という成長市場では、土俵にすら上がれないのは残念というほかない。気がつけば、事業撤退するメーカーも多い。

で、シャープの液晶事業に台湾の巨大EMS企業・鴻海精密工業(Foxconn)が1,300億円出資して資本業務提携だという。
これについては下記ブログの考察に深く頷くばかりである。シャープはFoxconn傘下でappleや他のメーカーの孫請けになる命運だ。

鴻海精密によるシャープ買収をどう考えるのか?



パナソニックも7,800億というものすごい赤字を出していて、もしかしたらいちばんきついダメージを受けているのかもしれない。なんといってもプラズマを捨てられなかったのが痛い。プラズマテレビの市場は縮小の一途だったのに、莫大な投資をして工場を新設した時点でアウト。先読みできないのはこの会社のお家芸ではある。
松下電工とサンヨーを吸収したけれどもスケール・メリットは今のところない。お得意の白物家電分野では、今後マーケティングに長けた中国の家電企業と戦うことになる。

テレビ市場の焦点は、次世代テレビに移っている。
液晶やプラズマは儲からず、次なる技術革新、次なる放送規格で市場を創ろうとしている最中だ。有機EL、スマートテレビ、2Kとか4Kなどと言ったキーワードが飛び交っている。

はたして日本企業は韓国企業に勝てるのだろうか。追い上げてくる中国企業を追い落とせるのだろうか。

日本企業の凋落、とりわけソニーの凋落について、ある種の感慨を禁じ得ない。下記でリンクしている小田嶋隆さんのコラムをお読みいただきたい。
小田嶋隆さんは「ソニーというブランドが自分の愛国心を支えてきた」と言う。それはよくわかる。こんなすごい製品を作り出せる日本ってすごい、と確かにおれも誇りに思っていた。
appleの製品に触れては、これはソニーが出すべきだったとぼんやり思ったりもする。

ソニー、過去最大赤字の「衝撃」


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