Pages

2015/12/29

『スター・ウォーズ』はヤマトのパクリだ!

「『スター・ウォーズ』は、『宇宙戦艦ヤマト』のパクリだ」

そういう説が公開前後から今に至るまで言われ続けている。

ストーリーもデザインも人物設定もコスチュームデザインも日本の作品から貰ってきたものなのだという。


「『スター・ウォーズ』は、黒澤明の『隠し砦の三悪人』をパクっている」
「『スター・ウォーズ』は、東映の戦隊ヒーローシリーズをパクっている」
「『スター・ウォーズ』は、東映の戦隊ヒーローシリーズをパクっている」 
「『スター・ウォーズ』は、松本零士のマンガやアイデアをパクっている」
「ダース・ヴェイダーのヘルメットは、伊達政宗の兜の意匠をパクっている」
「ジェダイの騎士は、日本のサムライとその精神たる武士道をパクっている」
「R2-D2は、『宇宙戦艦ヤマト』のアナライザーのデザインをパクっている」




そうなのだろうか。

そうだとしたら、誇るべきことなのか。 それとも、日本のアイデアをパクったことを糾弾すべきなのか。




「『スター・ウォーズ』は、『宇宙戦艦ヤマト』のパクリだ」というたぐいの話は、『スター・ウォーズ エピソード4』公開前後から雑誌に出ていた。
で、今はネットにその言説が広まっている。
ちょっと検索すると、かなり昔のサイトにその言説を見つけることができる。

 宇宙戦艦ヤマトのTV放映は1974年の開始です。裏番組にアルプスの少女ハイジがあって惨敗し、2クールで番組は打ち切りになります。ところが番組終了後からファンからの再開の要望が殺到し、ヤマトのテーマソングのLPが大ヒットしたのを受けて映画化に踏み切ります。 77年の映画公開時には、前夜から子供達が徹夜で劇場の周りを取り囲む状況に、劇場側は午前3時に開場するという事態になります。
人気を決定付けたのは、新宿・京王デパートでのヤマトグッズの販売会の成功で、絵入りTシャツ、ポスター、セル画などが飛ぶように売れたことで、ヤマト 人気に大人達が気づき、目の色が変わったというか、キャラクター・グッズとして、プラモとして、そしてテレビのアニメとして復活、映画も次々と作られてい くことになります。岡田氏によれば、宇宙が海であるというのを発見したのが、松本零士であり、以降、世界の宇宙ものの映画の大部分が宇宙を海と見立ててロ ケットの形状から舟に変わったとか。スピルバーグのスターウオーズは宇宙戦艦ヤマトのパクリだという説まで出るほど、世界的な影響を与えたと言います。話 半分にしても、まぁ、大変なものですが・・・・。
アニメ<オタクの出現>

※このサイトはすでになくなっていて not found
まあ、ぼんやりしているけど、当時の空気の残滓が感じられないこともない。
「スピルバーグのスターウォーズ」との記述があるので、このウェブサイトは平行世界のものにつながったのかもしれない。

検索して調べると、「スター・ウォーズは○○○のパクリだ!」という主張や彼らが挙げる<証拠>がやまほど見つかる。
興味ある人はぜひ。

ルーカスのネタ帳(前編)/SWキャラのルーツ(6)

ジョージ・ルーカスとか、ラルフ・マクォーリーとかの「パクりました」的な証言はなくて、証拠になりそうなものを挙げて、類推している。

このようなサイトをいくつか、2時間くらい読みふけった。
アニメ原理主義とか特撮原理主義の人たちにはよくあるおそろしくテキストの量の多いものばかりで目が疲れた。ブログはまだいいが、IBMのホームページ・ビルダーで作ったような昔のサイトは読みにくい。
文体も70年代の黎明期によくいた「おたく」の好んで書く表現で綴られている。

「1977年」について

「スター・ウォーズはパクリだ!」という主張の文章をたくさん読み、勉強になった。じつに勉強になった。

『スター・ウォーズ』はストーリーや人物の配置は黒澤明の時代劇をパクリ、ヤマトを始め、日本の偉大なる特撮・アニメからイメージや設定を剽窃しているんだな。
いやー、すごいすごい。
自分が好きな日本の特撮映画・ドラマ、あるいはアニメを持ちあげたいために、『スター・ウォーズ』を取り上げて、ほら、この作品がパクってるんですから、特撮とかアニメとかはスゴイでしょ、そう言いたいようだ。

しかし、そういうことを考えている人は日本にいるだけではない。
世界中に「スター・ウォーズのパクリ元探し」している人がいるのである。

ルーカス監督は旧映画版『フラッシュ・ゴードン』シリーズを幼い頃から鑑賞しており、リメイクを思いつきましたが、キャラクターの映画権が取れず映画製作を諦めるしかありませんでした。
そこで、彼は作者のアレックス・レイモンドがどうやって同作を作り出したかを調べ、『スター・ウォーズ』の物語を創ったそうです。『フラッシュ・ ゴードン』からの影響は大きく、ルーク・スカイウォーカーとハン・ソロは、主人公のフラッシュ・ゴードンとバリン公から、そしてパルパティーンはミン皇帝 からヒントを得て作られました。同じく、デススターも惑星モンゴからインスパイアされていると言われています。
また、『スター・ウォーズ』冒頭にある、物語の概要が書かれた文章が画面奥へ飛んでいくカットは、旧映画版の『フラッシュ・ゴードン』に倣っています。

ハリウッドを代表する多くの監督が「世界のクロサワ」と呼ばれた映画史に名を残す黒澤明から多大なる影響を受けたことは大変有名な話です。ルーカス 監督もその中の一人で、『エピソードIV/新たなる希望』のアイディアは、『隠し砦の三悪人』(1958)を元に考案したと監督自ら語っています。
例えば、物語のキーパーソンとなるC-3PO、R2-D2という2体のドロイドのモデルは、戦国時代の2人の百姓、太平と又七であり、姫を救うという流れや、冒頭とラストシーンの類似、そしてレイア姫の性格や行動には雪姫の影響があると言われています。

スター・ウォーズはアレからインスピレーションを受けていた?

『スター・ウォーズ』の元になったのは、ジョージ・ルーカスが少年期から青年期に触れた、様々な作品から得たアイデアである。
制作の作業に入ったら、デザインのアイデアを得るために、あるいは「盗作」などの批判や訴訟リスクを回避するために、様々な類似作品をチェックしたり、色々な資料に当たるだろう。当然、日本のSF映像作品もその対象になる。
その中で、参考になりそうなものは、参考にするだろう。

それだけのことだ。


パクリというと、日本では『スター・ウォーズ』パクリ映画が作られた。
1977年に全米公開となった『スター・ウォーズ』は、日本では1978年7月となって1年以上の空白ができた。
その間に東宝は『惑星大戦争』を作って1977年末に公開、東映は『宇宙からのメッセージ』を1978年6月に公開した。

以下の動画は、『宇宙からのメッセージ』を『スター・ウォーズ』と比較しながらレビューしたものである。
パクリとは何であるか。
同じ種類のものを描いているのに、どうしてこんなに質感が違うのだろうか、と思う。
かけるお金の差なんだろうか。
技術の差なんだろうか。

『宇宙からのメッセージ』監督の深作欣二は、この映画について「黒船に竹槍で闘いを挑むようなもの」とのコトバを遺した。



東映と言えば、白倉伸一郎というプロデューサーが「アメリカのヒーロー物映画は、日本の特撮やアニメの影響を受けている」と発言したことがある。
『ロボコップ』、『ダーク・ナイトシリーズ』、『アイアンマン』や『キャプテン・アメリカ』はどうやら『仮面ライダー』だとか『ロボット刑事』『人造人間キカイダー』などを参考にしたらしいのだ。

かれにはぜひ、本家としてすばらしい宇宙もの映画を作ってはくれないかと願う。
『スターウォーズ』は新しいシリーズを始める予定があるそうだから、その前に、パクってもらえるようなすばらしい作品をぜひとも。

4 件のコメント:

  1. 「ハイジ」と「スピルバーグ」の記述は間違いなので削除願います。

    返信削除
  2. クリエイティブな業界は狭いので、お互いに影響を与え合ってるだけだと思う。

    返信削除
  3. R2-D2とアナライザーの両方パクリです
    パクリ元が一緒なだけ

    返信削除
  4. 「アメリカのヒーロー物映画は、日本の特撮やアニメの影響を受けている」ですが、
    ロボコップ、プレデターのデザインは、日本の特撮から影響を受けてますよね。

    返信削除