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2016/09/30

『宇宙戦艦ヤマト』の宇宙はとても変だ!

『宇宙戦艦ヤマト』における<宇宙>について考えたい。

『宇宙戦艦ヤマト』の最初のテレビシリーズでは、はるか14万8千光年のかなたにある未知の惑星・イスカンダルを目指す旅が描かれた。
広大な宇宙を旅し、次々と遭遇する脅威とそれに立ち向かう沖田十三以下、乗組員の奮闘に私は夢中になった。
「ヤマト」は、<強大なガミラス帝国に単艦で挑むヤマトの戦いの物語>がメインであると捉えている人は多いだろう。

そうだろうか。

個人的には<宇宙探検もの>という古典的なSFの風格を備えた物語であることが強く印象に残っている。
わたしはそこに深く魅入られてしまった。『宇宙戦艦ヤマト』で描かれた宇宙は、魅力それまでの国産映像作品には見られなかったものだった。
14万8千光年という気の遠くなるような距離、未知なる驚異に満ちた宇宙の姿、見たことのない世界をしっかりと見せてくれた。

往復29万6千光年の旅の物語は終わった。
しかし、ヤマトはその後何度も宇宙に向かって旅立つことになる。
で、ヤマトが征く<宇宙>の姿は違って見えた。



恐怖に浸る快感。残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―

幼いころ、母の実家でよく夜を過ごした。


母の実家は大きな木造の家で、雨戸を閉めると真っ暗になる2階で寝た。
静かな中、ミシっと音が鳴ったりすると私はびくりとした。
廊下に明かりがなくて、トイレに行くのも怖かった。






寝付けないと、布団をすっぽりとかぶって目を閉じてなんとか寝ようとするが、幽霊が部屋の何処かにいることを想像して震えたりした。暗い空を漂っていた幽霊が、木戸と木戸の隙間から入り込んで浮遊している様子とか、近くの浜に佇む幽霊とか、色々想像していた。
『残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―』を見ながら、そんなことを思い出した。


中村義洋監督の『残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―』は、怪異を引き起こす【穢れ】を探すおはなしだ。
『住んではいけない部屋』が【穢れ】た理由を究明するおはなしだ。

2016/09/28

『仮面ライダー1号』藤岡弘、大独演会。

『仮面ライダー1号』という映画を観た。
仮面ライダーをやってかれこれ45年の藤岡弘、の主演作品である。



冒頭、タイの飯屋で合掌して「ごちそうさまでした」と言ったあと、からんできたチンピラどもを叩きのめしてチカラをアピール。




店を出た直後、藤岡弘、はううっと胸を押さえてさりげなく<体調が悪い>ことを明示する。財布に忍ばせた写真は、おやっさんこと立花藤兵衛の孫娘である。



豪華仮装大会!『テラフォーマーズ』

『テラフォーマーズ』は、有名な俳優がみんな昆虫に変態して、ゴキブリと闘う。
これが見ていて楽しい。

ゴキブリといっても、火星環境に適合して進化したヒューマノイドタイプのゴキブリ=テラフォーマーである。ものすごく強くて、繁殖力が強いらしく、夥しい数になって襲ってくるのだ。
50年代SF映画に出てくるモンスターを、CGで描きなおしたような不思議な質感が魅力的である。これが主役のセリフやアクションを待って行動するのだ。好ましい。
有名な俳優も人気俳優も昆虫に変態した姿で殺陣に挑む。ゴキブリの前に次々と負けてしまい、ハデな肉体損壊を披露してくれるのだ。
子供が昆虫を捕まえて手足や首をもいだりする、あの残酷さを連想するような映像が続けざまに登場する。

実にすばらしい。






2016/09/27

『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』と老人たちと掲示板と長いテキストと妄想

『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』は、2017年2月25日から一部の映画館でのイベント上映とネット配信が開始されるのだそうだ。
2月25日。
国連軍に反旗を翻してヤマトが飛び立つならば2月26日に上映開始したほうが、それっぽくていいんじゃないかと思った。


















『宇宙戦艦ヤマト 2199』と同じビジネスをしようという算段だ。
26話からなるテレビシリーズを7回に分けて上映、劇場先行版Blu-Rayやマーチャンタイズ商品を高値で売りつける商売である。
『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』などというものは、言うまでもなく老人と老人に近い中年しか劇場に来ないので、連中からできる限りカネを巻き上げるというものだ。
バンダイは『機動戦士ガンダムUC』でそこそこ金を持っている高齢のアニメファンからカネをとる手法を確立した。あと10年くらいはカネを生みそうな気もする。




『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』は果たして期待されているのだろうか。
ネットを検索してみる。

2016/09/26

『戦慄怪奇ファイルコワすぎ!』シリーズに注目せよ。

事前に何の情報も入れないで、レンタルDVD屋に行く。
面白い作品を捜して借りる。

これは意外と難しいことだ。

見たことのない、面白い映画が観たい。
そう思い立ってレンタルDVD屋へと足を運ぶ。
コーナーを巡っていると、あるタイトルが目に留まった。

『戦慄怪奇ファイルコワすぎ!』

それは「心霊ビデオコーナー」にあった。
同じコーナーにあるのは、『ほんとにあった!呪いのビデオ』などのいわゆる「実話心霊モノ」である。




『戦慄怪奇ファイルコワすぎ!』は、レンタルビデオ店では「ホラー」だとか「心霊」のコーナーに置かれている。

しかし、中身は正しく「映画」である。
それも、相当に面白い映画なのである。
怪しく、怖く、猥雑で、予想もつかない展開があり、驚きがある。




2016/09/23

ヤマト復活篇とハーロック、松本零士と西崎義展の耄碌相似形。

「空前の出来、もはやこれは伝説だ。神話のように想像力にあふれ、壮大なスペクタクルと、今まで見たことのない映像がここにある」
(ジェームズ・キャメロン)
絶賛の言葉である。
ジェームズ・キャメロンが見た『キャプテン・ハーロック』は我々が目にした『キャプテン・ハーロック』とは違うのだろうか。

3DCG映画『キャプテン・ハーロック』の興収は日本では445万ドル、4億5千8百万円くらい。宣伝文句によると、制作費は30億円かけたそうなので、大惨敗に終わった。
キャメロンが絶賛した「今まで見たことのない映像」を見なかった日本人がほとんどだったということになる。

だいぶ前から「松本零士」は客を呼べる看板ではなかったし、『キャプテン・ハーロック』も人気がある漫画でもアニメでもなかった。「松本零士」という看板を掲げていれば何でも売れたごく短い期間に咲いた徒花のようなものだ。
松本零士の漫画『宇宙海賊キャプテンハーロック』は内容がやたら薄く、ハーロックがひたすらカッコつけて、意味ありそうでないセリフをつぶやくうちにページがどんどん消費されていくというものだった。

はっきり言って面白くなかった。


こんなガラクタに、なぜ30億円もの予算をかけるなどという企画が通ってしまったのだろうか。
きちんと世間を見ることができるプロデューサーがいたら、松本零士原作作品のアニメなど、今どき企画しないだろう。
国内市場など期待せず、外国で公開してきちんと利益があげられるとでも考えたのだろうか。
東映および東映動画は『銀河鉄道999〜イターナルファンタジー〜』という映画が興行的に大失敗した件は問題としなかったのか。あれは、「松本零士」という看板になんの効力もないことを証明したのではなかったか。

ところが、映画化は決まり、予想通り興行成績は惨憺たるものとなった。

公開から半年、DVD/Blu-rayが発売された。

キャプテンハーロック