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2020/07/15

西崎義展と宇宙戦艦ヤマト Part1

西崎義展と宇宙戦艦ヤマトについて、色々なテキストや数々の発言から拾ってみる。
このページは、個人的な備忘録である。
予め、予告しておくが、文字量はバカみたいに多くなると思う。

西崎義展がどういう人であったかの一端を覗き見たいと思ったので、検索で西崎義展とヤマトについて書かれたテキストを集めてみた。それを「カットアップ」で再構成しようとお思っている。
カットアップは、フレーズをバラバラにして組み立てなおす、執筆や音楽制作で用いられる手法の一つである。





まずは、放送の2日前にラジオドラマ版「宇宙戦艦ヤマト」のシナリオ執筆を依頼された藤川桂介氏のおはなし。
ラジオドラマ版は、4時間に及ぶ生放送だった。

魔法のクスリ

○藤川桂介、西崎義展を語る

「宇宙戦艦ヤマト」の映画での大ヒットに目をつけて、ニッポン放送では、そのラジオ・ドラマを生放送しようという企画を持ち込んできました。
いつものことでしたが、話が決まってぼくに脚本の依頼があったのは、実に放送の二日前といった状態です。
かつてラジオ・ドラマを書いていたとはいっても、無茶苦茶な話です。
しかしこんな切羽詰まった状態で、あの膨大な話を、すぐにまとめられるのはぼくしかいません。結局引き受けざるを得ませんでした。

ストーリーの全容は熟知しているので、全体像をきめることは、そう難しいことではありませんでしたが、それでもいよいよ脚本を書く状態になったのは、午前二時近くになってしまっていました。
それまでさんざん打ち合わせをしてきているので、疲れも極限にきていました。
いよいよ執筆というところまできたところで、睡魔が襲い始めたのです。
「もう駄目だ」と思いました。
実はここへ入るとき、プロデューサーのN氏が、
「眠くなったら、これを飲んでください。おまじないです」
小粒の錠剤をひと粒渡してくれたんです。
ぼくはそれを、コップに注いだ水と一緒に置きました。
「怪しけなものではないのか?」
&そんな不安があって、それを呑むことに躊躇しました。しばらく睡魔と、白い錠剤とのにらめっこがつづきました。しかし原稿を書こうと思っても、ただ眠くなるだけです。ついにぼくは決心をして、その「おまじない」を飲み込んだのでした。

あーら不思議。それから数分も経たないうちに、睡魔からも解放されて、妙にうきうきとしてくるのです。もう午前三時は間近。ぼくは夢中で書き始めました。一気に書いて、ついに約束の午前八時には、原稿を持ってロビーへ下りて行ったのです。

それにしてもあの魔法の錠剤は何だったのでしょう。
一説では鬱病の薬だということでしたが??

藤川桂介 『アニメ・特撮ヒーロー誕生のとき ウルトラマン、宇宙戦艦ヤマトから六神合体ゴッドマーズまで』 ネスコ、1998年




宇宙戦艦ヤマトの堕落史6|宇宙戦艦ヤマト 復活篇

「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」は、カルト映画になりそこねた映画である。

カルト映画足りうる条件は備えていたはずだ。

ひどい出来で、期待されたほどのヒットもしなかった「宇宙戦艦ヤマト 完結編」から26年を経て登場するという無意味さ。
旧作のタッチとも違う、アップデートしたつもりが時流に全く合わないキャラクターデザイン。
センスがまるで感じられないCGの使い方。
劇場アニメだというのに、80〜90年代の濫作期のアニメのように破綻した作画。
底が浅くてご都合主義のストーリー展開に、意味のない自己犠牲の特攻。

惜しい。

一人合点して勝手に特攻して華と散る人間が立て続けに登場するあたりは、「頭が悪い映画」として少し期待したのだがなあ。
全部中途半端で、「底抜け映画」になるという華々しい破綻はなくって、ごくありふれた「失敗した映画」で終わってしまった。






これは、今回の敵役SUSの生命体である。
「異種異根の生命体」と言っているのに、このていどのイマジネーションなのだ。
弾けていない。
まったくもって弾けていない。
しかもこの魔神のできそこないみたいなやつは、長々と「ストーリーの説明」をするためにでてきただけなのだ。

2020/07/14

ヤマト誕生期の熱気、そして堕落へ。 豊田有恒 「宇宙戦艦ヤマト」の真実

豊田有恒の新書『「宇宙戦艦ヤマト」の真実ーいかに誕生し、進化したか』を読んだ。



豊田有恒は、『宇宙戦艦ヤマト』放映当時、気鋭のSF作家として、また、古代史にも造詣が深い作家として人気があった。
ストーリー原案およびSF設定を受け持った立場からの視点で、本邦初の本格的宇宙アニメ、もしくは映像のスペースオペラ作品がどんなふうにできたかを描いている。

『ヤマト』の〈地球を救うために広大な宇宙を旅して帰還する〉というストーリーの骨格は、SF作家の大御所・ロバート・A・ハインラインの『地球脱出』と、ご存知『西遊記』を基にした。

豊田有恒は『ラジェンドラ6』という物語を考えた。

ラジェンドラは地球に攻め入り、自分たちが居住地とするべく、放射能で汚染した。ラジェンドラの生命体は放射線の環境下で生きるのだ。
惑星イスカンダルは地球に放射能除去装置を提供するという。
地球人たちは、小惑星に偽装した宇宙船『アステロイド6』で旅立つ。宇宙空間を一気に飛び越える「ワープ航法」を駆使してイスカンダルを目指す。
『ラジェンドラ6』は、海底に眠る戦艦大和を宇宙戦艦ヤマトに改造するという松本零士のアイデアを得て、『宇宙戦艦ヤマト』となった。
ラジェンドラの正体については驚くべき秘密があるのだが、それはアニメでは採用されず、石津嵐の小説『宇宙戦艦ヤマト』やTVシリーズを劇場版に編集した映画第1作の当初のバージョンに反映されている。
ラジェンドラは松本零士の参加を得てガミラス帝国となる。
豊田有恒は、松本零士を「おおよその原作者」と評し、裁判の判決が真実と異なることもあると書いている。

豊田有恒は『さらば宇宙戦艦ヤマト』以降、『宇宙戦艦ヤマト 完結編』までSF設定に関与し、重核子爆弾、地球に水をもたらした水の惑星アクエリアスなど、各エピソードのコアとなるアイデアを提供した。
ネーミングでは、歴史に想を得たものが多いと明かす。
例えば、星の名称。アレクサンダー大王から「イスカンダル」、中東の氷菓子から「シャルバート」などである。

スタッフの無理解で、アイデアがうまく活かされないことも多かった。
『さらば宇宙戦艦ヤマト』の白色彗星は、もともと「白色矮星」だった。白色矮星は寿命の尽きた恒星の最後の姿である。恐るべき重力を持ち、周囲の天体を破壊す呑み込んでいく。豊田有恒の出したアイデアは、白色矮星を武器とする星間航行種族が太陽系に攻めてくるというものだった。
知っての通り、白色彗星という、科学考証もへったくれもない、わけのわからないものに改変されてしまった。

豊田有恒はその戦犯を明示していない。しかし、アイデアキラーと思われる人物について極めて辛辣に書いている。

西崎義展である。

『ヤマト』の企画を成立させた稀有なプロデューサー。

人たらしの才能があり、相手を丸め込んで『ヤマト』の生み出すカネと権利ををほぼ独占して蕩尽した怪物。
クリエイティブな才能はないが、〈自分が創ったことにしたい〉という自己顕示欲が人の姿をとった存在。
運転手付きリンカーンコンチネンタルに乗り、豪華なクルーザーを買い、武器も買い、赤坂で豪遊し、何人も愛人を囲い、何百億ものカネを使い果たしたあげく覚醒剤に手を出して捕まり、服役した。




豊田有恒はこの本で『宇宙戦艦ヤマト』から『宇宙戦艦ヤマト 完結編』まで関わって設定を作ったことを語るが、作品については一切論評していない。
スタッフとして『ヤマト』を作った松本零士、宮川泰、藤川桂介、スタジオぬえ、出渕裕などの「同志」的な、さらには〈西崎義展被害者の会〉的なつながりを書いている。
出渕裕はSFファンとして豊田有恒とはかねてより交流があった。
豊田有恒は、出渕裕が『宇宙戦艦ヤマト2199』 を手がけるにあたり、松本零士に対して名前をクレジットできないことについて謝罪をしたことを明かしている。

豊田有恒のアイデアは今読んでも色褪せないおもしろさがある。

豊田有恒や松本零士が作ったアイデアに立ち返って、『宇宙戦艦ヤマト』リメイクしたら面白いんじゃないだろうか。
『さらば宇宙戦艦ヤマト』『宇宙戦艦ヤマト2』のリブート作品が作られたが、一部のファン以外は全く関心も示さずに地味に消えてしまった。
これを中止して、『宇宙戦艦ヤマト Naked』とでもいうべき、初期アイデアに基づいた古くて新しい『宇宙戦艦ヤマト』が観てみたい。



2017/03/15

宇宙戦艦ヤマトの堕落史0|墓碑銘

「宇宙戦艦ヤマト」から「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」に至る歴史について語りたい。
西崎義展のプロデュースで作られた「ヤマト」について、個人的な見解をもとに変遷を辿っていこうと思う。

「宇宙戦艦ヤマト」の歴史とは、汚濁の歴史である。
「宇宙戦艦ヤマト」の歴史とは、失望の歴史である。

「ヤマト」を語ることとは、最初のTVシリーズにあった美点が失われ、無視され、汚されていった堕落の道筋を辿っていくことである。
製作者の意向で作品世界は書換えられ、設定は捨てられ、死者は蘇り、構築された作品世界は反故にされる。
「ヤマト」は、そんなことを繰返した。

「宇宙戦艦ヤマト 劇場版」公開当初、この映画は「愛」もしくは「宇宙愛」だとか「和」を描いたものだとか高尚そうに語っていた西崎義展は、大金をせしめてからというもの、本性を現した。
「赤坂のデスラー」と呼ばれ、赤坂で豪遊していたという。
儲けたお金でクルーザーを買い、銃火器を買って女を連れて海に乗り出した。覚醒剤を買ってキメたところを警察に捕まり、獄につながれた。
実写版『Space BattleShip ヤマト』の高額な映像化権料で買った船から海に落ちて不帰の客となり、養子・西崎彰司が権利を手に入れ、続篇に手を染めた。

『宇宙戦艦ヤマト』ファンは、最初の「宇宙戦艦ヤマト」の面影を追いかけて映画館に足を運ぶ、もしくはチャンネルを合わせては失望を味わうという繰り返しだった。
しかし、ファンとは汚濁も失望も呑み込んで、ファンであり続けた。





2015/10/03

西崎義展と宇宙戦艦ヤマト Part3

西崎義展はアニメが好きだったんだろうか?

アニメ制作の現場を理解していたのだろうか?

西崎義展は会議魔だった。
かつて西崎義展プロデュースの作品に参加したスタッフは、口を揃えて述懐する。
スタッフを集めての、会議に次ぐ会議。
映画館での上映、テレビ放映、いずれも期限が決まっている。
当然のことながら動画制作に充てられるべき時間が圧迫される。
当然の事ながら絵が荒れ、作画や撮影のミスは省みられることはなく、当然の結果としてアニメとしては質の低いものになってしまう。




山本(弘) 西崎義展からすごいしつこい電話かかってくるんだよね。「ぜひSF設定お願いしますって」
岡田(斗司夫) デスラーみたいな声で(笑)
山本 とにかくこっちは忙しいから、なんとか断ろうと思うんだけど、向うは押してくる。「とにかく設定書を送ります」って。
ヤマトが新たな人類の移住先を見つけなくちゃいけないっていうんで、銀河中心に行ったら、銀河中心にUSA的大国がある(笑)。ちゃんとその企画書に 「USA的大国」って(笑)。で、そいつが銀河の国連を牛耳ってて、小国をいじめてる。で、ヤマトが「八紘一宇の精神を発揮して」…(笑)。
岡田 で、表紙見たら「原案/石原慎太郎」って書いてあったっていう(笑)。

岡 田 俺ね、前田真宏が『YAMATO2520』始めた頃にヤマトスタッフルームへ遊びに行ったんですよ。とにかく『ヤマト』の設定っていうの、僕も見たくて見 たくてしょうがなかったから(笑)。「真宏君、ヤマトの設定見せて!」って言ったら、全員顔を見合わせるんですよ。「なにかな?」って思ったらね、なんか すっごいデカいキャビネットをバカッーッと開いたら、180センチくらいの紙が積んであるんですよね。「うわぁ〜っ!!」って思ったら、そのドアに 「1」って書いてあるんですよね。キロじゃなくて、トンで計るくらいの紙が…。ものすごかったですよ。とにかく、どこ見ていいかわかんないですよ。結局、 西崎さんって10何人でやってるブレインストーミングとかを、全部テープ起こししてるんですよ。
だから、大阪教育大学の堀江純さんとかそういうふうな人たちで。で、僕らとかでこういうふうにバカばなしする時でも、とにかく『ヤマト』のアイデアになってる。
その辺ではね、あの人はやっぱ超一流のプロデューサーだとは思いますよ。
全部テキスト化して、全部残してる。
コンテ切ってる最中に「組み立てドックの設定が…」って言ったら、「あーっ、これ、7年前に小林誠さんが描いたやつだ!宝庫ダナ!」って言って(笑)。もう、ホントに180センチぐらいあって。
山本 なんか、ありとあらゆるアイデアがあそこに詰まってるんじゃないの?
岡田 それぐらい分量がある。で、それぐらい一つ一つのアイデアが使えるんですよ。

(1999年『封印ー史上最強のオタク座談会』岡田 斗司夫+ 山本 弘+ 田中 公平、音楽専科社 (1999/07)

西崎義展は会議に時間を費やしては作品に関する情熱を語り、作品の設定にも時間と労力とお金をかけたことがよくわかる。
これは、アニメに関する権利をプロデューサーに集約するという点でも必要だった。

しかし、最終的なアウトプットたるフィルムは、質が低い。これが西崎義展が手がけたアニメの特徴だ。




2015/09/09

西崎義展と宇宙戦艦ヤマト Part2

西崎義展はアニメ業界に大きなインパクトを与えた人物だった。




何よりも、アニメ=まんが映画もしくはテレビ紙芝居という図式を壊してみせた。

そして、アニメのビジネスとしての大きな可能性を見出した人物である。
アニメに鉱脈を発見して、巨額のカネを掴んだ成功者だった。
子供に対しておもちゃを売りつけるという従来のビジネスをとらないで、全く違う市場を作った。
ティーンエイジャー、若者、さらにはその上の世代を映画館に足を運ばせたのち、書籍、レコード、キャラクター商品などの購入を促すという手法を確立した。
高額な「設定資料集」「豪華本」などがずいぶん売れたと記憶する。可処分所得の多い層=ファンが多く集まった。
それを意図的にしたのか、結果としてそうなったのかはわからない。
また、「宇宙戦艦ヤマトファンクラブ」を創立してファンの囲い込みをしたというのも特筆すべきだ。ファンのロイヤリティ(忠誠度)を高めるという点で効果的だった。

西崎義展は、アニメ業界を変えた人物と言える。
それでは、アニメ制作者/プロデューサーとしては、そういう仕事ができるのか。どのように評価されているのか?

西崎氏が途中ですっかり デスラーにのめり込んじゃいまして、
どんどんデスラーになっていった。


安彦良和の語る西崎義展

西崎さんで人は金に糸目はつけねえって人でしたから、コンテでも「おいロングを使え。やれ」って言うんですね。それだと金がかかるけどいいのかなあと思いながらコンテを切ってました。だからあんなハリネズミみたいな「ヤマトの絵がたくさん出るわけです。「ガンダム」ではそんな手間のかかることはできない。 それが当然なんですけど。
「ヤマト」は映画もやってオリジナルビデオもやっていろいろあったけど、 その中でいつしか滅茶苦茶になっていったんですよ。西崎氏が途中ですっかり デスラーにのめり込んじゃいまして、どんどんデスラーになっていった。続編を つくるたびに「これはデスラーの話だ」と言って、実際にデスラーが主役の話もつくった。ひどいことに自分で自分がつくった話の世界にのみ込まれてしまったんでしょうね。「ヤマト」もガミラスやデスラーという魅力的な仇役を創出したのが大きな成功の要素だったんですけど、西崎氏にとっても魅力があり過ぎた。難しいものですよ。
彼は人をとっつかまえたら離さないところがあって、僕は途中で、もう「ガンダム」と同時に「ヤマト」までやってられないってのもあって、抜けたくて抜けたくて仕方がなかったんですけど、抜けられなかった。最後にはもう相当シリアスなケンカでもしない限り抜けられないと思って、シリアスなケンカをして抜けました。

西崎義展と仕事する困難さが伝わってくる。
超ワンマンの会社で働く辛さとでも言おうか。

今回のエントリーでは、アニメ業界で働く人と西崎義展の関わりを、ネット上に残された発言やインタビューから探ってみる。



2014/03/05

西崎義展の逮捕と溺死は陰謀だ!


西崎義展の逮捕、西崎義展の溺死は陰謀だとする説を唱える人がいる。


どこかの秘密組織にでも殺されたとでもいうのだろうか?



なお、このエントリー自体、ゲルショッカーの陰謀である。