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2014/04/08

おっぱい見せろ! 009ノ1 THE END OF THE BEGINNING

石ノ森章太郎という名を目にする機会は、思いのほか、少なくないのではないだろうか。

名前に一定の集客効果があるのか、遺族の著作権管理がしっかりしているのか狡猾なのかは知らないが、もはや原作漫画とは何の関係性も見いだせない平成「仮面ライダー」原作者として記されたり、「サイボーグ009」が久々にアニメ映画化されたりしている。





『009ノ1 THE END OF THE BEGINNING』は石ノ森章太郎生誕75周年記念作品なのだという。
監督は坂本浩一。
特撮ドラマの世界では有名で、「仮面ライダー」や「ウルトラマン」のTVドラマおよび劇場版映画を何本か撮っている。雨宮慶太以降、ひさびさに名の売れた特撮ドラマの監督である。

『009ノ1 THE END OF THE BEGINNING』は、サイボーグが登場する作品にはよくあるお話である。ありがちな陳腐な苦悩と陳腐な意外さがセールスポイントだ。
アクションが大げさで、昔、見たことがあるような低予算の東映アクション映画の典型とも言える映画である。

情勢混乱により、世界は<ウエスタンブロック>と<イースタンブロック>の二極に分断され、緊張状態にあった。
緊迫する軍事境界エリアに設置された特殊工作機関「ゼロゼロ機関」、ゼロゼロ機関はサイボーグ・ミレーヌ・ホフマン、通称「0091ゼロゼロナインワン」を作り出した。ミレーヌの任務はイースタン・ブロックに潜入し必要な情報収集や盗まれた情報の回収である。彼女は幼いころの記憶を失っている。
ミレーヌは、移民売買を摘発するミッションを遂行中、移民のひとりの青年クリス)に目を留める。
ミッションは成功する。ミレーヌは、なぜかクリスのことが頭から離れない。

ミレーヌには、ゼロゼロ機関のボス(竹中直人)から「Dr.クラインを奪還、保護せよ」という新たなミッションが下された。
自分の失われた記憶の謎を知るDr.クラインの名を聞いて戸惑うミレーヌ。
迫り来るイースタンブロックの女サイボーグエージェント(長澤奈央)からDr.クライン(杉本彩)を奪還できるのか。
はたして、失われたミレーヌの記憶は戻るのか。
秘密裏に進められているファウストプロジェクトとは一体何か。
そして・・・明かされるクリスの正体とは――。

ミレーヌはイースタンブロックから逃れた難民だった。
クリスはミレーヌの弟で、謀略を巡らしている。イースタンブロックの女サイボーグエージェントは母の姿を模してクリスが改造したものだった。

『009ノ1 THE END OF THE BEGINNING』の原作『009ノ1』は、1960年代後半から1970年代前半に描かれた漫画である。
『サイボーグ009』と同様で、米ソを代表とする東西陣営が対立した冷戦時代を背景とした物語である。ゼロゼロ機関のエージェント・「009ノ1」となったミレーヌは東西陣営対立のなかで生まれたサイボーグである。
それを2013年に映画にするのだから、現代に合った時代背景にアップデートするかと思ったら、そういうことは一切なくて、原作そのままだった。
登場人物の名前も原作のまんまで、日本風の名前に変えるとか、そういうことはなかった。
映画の多くは室内やら廃工場で撮られている。
設定だとか世界の状況はおもにセリフで説明されている。
正しく、日本の低予算映画の伝統に忠実だ。
アクションの場面ではやられる人は、おおげさに吹っ飛んだりし、数カットCGのカットもある。正しく低予算アクション映画であり、特撮ものだ。

ミレーヌはゼロゼロ機関から離反する。
サイボーグって、行動するためには高度なメンテナンスが必要だろうとか思うんだけど、そういう描写はなかった。おっぱいが機関銃になっている世界だ、そういうものはなくても大した問題ではない。

主演女優は岩佐真悠子。
著名ではないけれども、それなりに知名度があるような、ないような人である。
こういう低予算映画やVシネマではありがちな人選ではある。
肝心のシーンではスタンドインが目立つものの、お色気シーンはそれなりに頑張っていた。
岩佐真悠子に対峙する敵は、長澤奈央である。






竹中直人や本田博太郎など、怪演を期待される役者はきちんと怪演を披露していた。
「北京原人」以降、本田博太郎は変人カテゴリーの人なんだな。


お色気枠の杉本彩はダイコン演技を披露していた。

クライマックスは、姉弟が敵味方に別れ、弟が母そっくりに仕立てたサイボーグを姉に差し向けるが返り討ちにあって死ぬというものである。演ずる岩佐真悠子と弟役の役者の演技が演技と言えないシロモノだったので、姉弟の葛藤も悲しみも不発だった。

『009ノ1』は、おっぱいがマシンガンになるのが最大のセールスポイントとするお色気漫画なのだが、『009ノ1 THE END OF THE BEGINNING』はそのことに真正面に取り組まなかった。
レズっぽい場面はじめエロ場面はあったが、「グラビアアイドルが、一生懸命頑張りましたよ」から一歩も踏み出していない。
朝、テレビ朝日でやっている戦隊物とか仮面ライダーが好きな人には同じ「約束ごと」で作られている世界だから、そういう人たちは許容するのだろうか。「おお、頑張ったな」などと言って賛辞を寄せるのだろうか。
でも、メインの顧客になるであろう、おっぱいとかスケベな場面に期待を寄せて借りた人をがっかりさせる内容だ。
つまり、顧客満足度は低いと言わざるをえない。

おっぱいマシンガンを正面切ってきちんと描かないのが敗因だ。

こういう作品に期待されているのはエロだろうが。岩佐真悠子などではなくて、AV女優を使ってエロを正面切ってやったら顧客満足度は高まったんじゃないのか。

おっぱい見せろ!

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