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2016/10/08

映画はメジャーな娯楽ではない。

「映画見てますか」
「はい」
「『シン・ゴジラ』はご覧になりましたか」
「あれ、映画館でやってるんですよね。テレビでやったら観ますよ」

大ヒット映画があったとしても、世間ではこういう会話がかわされている。

映画館で映画を鑑賞することは、日本ではマイナーな娯楽でしかない。






日本人の約7割・8580万人もの人びとは、映画館に行かない。

月に1回以上・年間28本映画館に行く人と、月に1回映画館に行く人が映画という娯楽産業を支えているのだ。

平日、映画館に行くとガラガラであることが多い。
土日とか、長い休みの時期とか、ブロックバスター映画が公開された直後くらいは人で埋まるけれども、平日はそんなに人がいない。
これで経営が成り立つのだろうかと、首を傾げたくなる。

Twitterで、シネフィルというか映画命の人というか映画狂というか映画オタクというか映画バカのツイートを見てると、

「今日、隣りに座った男が猛烈に臭かった」
「隣りに座った男が、上映中にケータイ画面を見てて明るくなって邪魔」
「カップルがおしゃべりしながら映画を見てるので、注意してやった」
などという、<たまにしか映画を見ない人の振る舞い>を非難するものが多い気がする。

映画を映画館で見ることを重要だと考えるシネフィルというか映画命の人というか映画狂というか映画オタクというか映画バカにとって、<たまにしか映画を見ないひと><営業途中でサボって映画館に来た人>の行動は目に余るものなのだ。彼らの聖域を汚す存在なのだ。

でも、たまにしか映画館で映画を観ないという人だって、明確な理由がある。
大多数の人が映画館/シネコンに行かないのは、鑑賞料金が高いと感じるからだ。
映画に付随してかかるカネもバカにできないからだ。

映画料金は高い。
4人家族で交通費費やして映画を見に行って、コンセッションなどを買ってパンフレットを買って1万円はかんたんに飛ぶ。
デートで見に行って、映画がはねたあとでメシを食ったり居酒屋でちょっと呑んだりしても1万円は要るし、映画見てなぜか気持が盛り上がってラブホテルに行けば、休憩3時間くらいでもおカネはいる。

観にいった映画が駄作で、<損した>と感じたときの悔しさたるや。

映画料金は高いから、行かない。
そういう人は多い。

また、荷でコンはショッピングセンターの中にあって、そこに行くのに来るまで時間以上かかるといったら、やはり足は遠のくのではないだろうか。



テレビも含め、映画は観ないという人も9.4%いるが、9割以上の人は何らかのルートを通じ、頻度はともあれ映画を観ていることになる。
そこで具体的にどのような媒体で観ているかを聞いたところ、もっとも多い回答率を示したのは「地上波のテレビ放送」だった。
全体では69.5%の人が「テレビで映画を観ている」と答えている。
映画視聴のために存在する映画館より、テレビ放送で映画を観る人が多い状況は、映画業界の現状を如実に表す結果ともいえる。
また、上位2項目にはかなわないが、レンタルによる視聴も4割を超え、インターネットの無料視聴サービス利用も1割強に達しており、映画視聴の手段の多様化がうかがえる。

http://www.garbagenews.net/archives/2139256.html


メディアで大きな話題になった映画は1年かそこら経てば、テレビで放映される。
それも、地上波のタダの放送だ。

家にあるテレビが大きな画面になって、きれいな画質で観ることができて、録画して好きな時間に観たりできる。
トイレに行きたい時などは、一時停止しておけばいい。
面白くなければ、観るのをやめる。


そういう理由で市場は大変小さいものになっている。
以下のグラフは2013年度までのコンテンツ市場の推移。


市場は大きくないので、スクリーン数も多くはない。
日本の映画館のスクリーン総数は2014年度で3,318。

http://www.eiren.org/toukei/screen.html

1億2千万人の人口の国にこの数は少ないのではないか。
そして、スクリーン数の少なさは「映画」という産業が我々が思っているよりも小さくて儲からないものだという証左といえないだろうか。


映画館/シネコンはシネフィルというか映画命の人というか映画狂というか映画オタクというか映画バカの楽園だ。
今日もTwitterでは「たまにしか映画を見たい人の映画館での振る舞い」をバカにしたツイートが流れ、大半の人は映画の記事など読んで、地上波テレビでの放映を待つのだ。







レンタルDVD屋に行って、怪しげなDVDを借りる。これもまたいい。

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