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2012/06/29

大人アニメ|獣兵衛忍風帖

川尻善昭監督の「獣兵衛忍風帖」を見た。
面白かった。
すごく面白かった。
いや、川尻善昭の実力は知っている。おもしろいのは当たり前だ。面白すぎて、3度繰り返して見てしまった。
これは1993年に公開された作品だ。おれはすっかり見落としていた。
おのれの不明を恥じたい。
アメリカで熱狂的に受けている「Ninja Scroll」はこの作品のことだった。















<ストーリー>

江戸時代。下田村に広まった謎の疫病の原因を解明しようと、望月藩お抱えの甲賀組忍びが潜入する。しかし、妖しい術を使う忍び軍団・鬼門八人衆の手にかかり、次々と惨殺されていく。くノ 一・陽炎は偶然はぐれ忍びの牙神獣兵衛に救けられる。
そのせいで獣兵衛は逆に鬼門衆から狙われることになってしまった。鬼門衆の陰謀を暴かんとしてやって来た公儀隠密・濁庵の策にはまって濁庵や陽炎と行動をともにすることとなる。
また、鬼門衆の従える男こそ獣兵衛がかつて殺したはずの宿敵・氷室弦馬(ひむろげんま)であることを知る。次々と襲いかかる刺客たちとの壮絶な戦いのなか、獣兵衛と陽炎は次第に魅かれあっていった。鬼門衆の狙いは村や港を無人にして、その間に幕府転覆を図る闇公方の軍資金を船で運ぶことにあった。獣兵衛を守るために倒れた陽炎への思いを後にし、獣兵衛は船の中にただ一人乗り込んでいく。そして不死身の術を使う弦馬との壮絶な戦いの末燃え上がる船もろとも弦馬を倒すのであった。


この映画は山田風太郎の伝奇忍者小説に敬意を表したかのように、バイオレンスとエロスがに満ちた傑作だ。川尻善昭監督は山田風太郎を耽読したに違いない。血しぶきが飛ぶは、肉体損壊シーンがたっぷりあり、殺陣の演出は斬新、凄いという褒め言葉しか出てこない。陳腐だと思いながらも凄いとしか言いようがなく、「ターミネーター2」にオマージュしたシーンにニヤリとしていたら、あっという間に90分が過ぎた。
面白い。じつに面白い。
90分という長さは、アクション映画としてちょうどいい。それ以上はケツが痛い。











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思えば、「妖獣都市」を映画館で見に行って、あまりの面白さにその日は劇場に居座って3回見たことがあった。昔の映画館は入れ替えなしだったので、そういうこともオーケーだった。で、川尻善昭という名を覚えた。
これもバイオレンスとエロスが満載で、ものすごく興奮した。
でありながら、ストーリーの根幹は純愛ドラマ。
これは「獣兵衛忍風帖」も同じで、川尻善昭監督作品の持ち味なのだ。

「妖獣都市」は世界でも評判を呼び、とりわけ映画の創り手に影響を与えたようだ。香港映画の鬼才・ツイ・ハークがプロデュース、実写映画としてリメイクもされている。なんと仲代達矢も出演している。




















さらに、「獣兵衛忍風帖」はウォシャウスキー兄弟をおおいに熱狂させ、のちに「Animatrix」に川尻監督を招いている。
川尻善昭は押井守、大友克洋と並んでカルト的な人気を博するアニメ作家なのだ。






話は「獣兵衛忍風帖」に戻る。
これは、「おもしろい」のひと言で語れる映画である。
これが小屋にかかっていてふらりと入ったらとても得した気分で出てこれると思う。
そして、非アニメファンの映画ファンにも面白さが伝わると思う。
素晴らしい。

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