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2012/06/06

旅に出てタバコをやめた。

タバコを吸わなくなって、約3年経つ。

3年前の夏、10日間ほどの旅に出た。おれは家人に「タバコはやめた」と嘘をついて隠れて吸っていたので、旅の間は吸わないことにした。
最初の2、3日は、タバコを吸いたいという衝動がたえず襲ってきて辛かった。
しかし4日を過ぎる頃からその衝動が来る周期が長くなって、辛さもだいぶ軽くなっていった。衝動と戦いつつ、旅先のそうして10日間吸わずに過ごした。
行ったのは中国・雲南省の麗江と大理、そして上海。観光にしても食事にしても色々と刺激的な体験に満ちていたので、タバコが吸えないイライラはかなり紛れた。
禁煙のきっかけに旅を使うのは悪くないかもしれない。
まず、出国したら免税店のタバコ売り場の誘惑を振り切るところから始めるのだ。

旅が終わって帰国した。
思いのほか、禁断症状が軽微だったこともあり、タバコを吸わないことにした。本当に吸いたくなるまでガマンしようと決めた。隠してあったタバコとライターを捨てた。
止めよう、というのではなく、ガマンするのだと自分には言い訳した。意思が弱いので、逃げ道は作っておきたかった。
タバコを吸いたくなったら、水かお茶を飲んだ。飴やガムは使わなかった。糖分の過剰な摂取と代替品への依存は避けたかった。
水やお茶を飲めば、タバコを吸いたい衝動は薄れる。その代わり、トイレに行く回数が増えた。
あと、コーヒーを飲むのをしばらくやめた。
それまでは、タバコを吸うとコーヒーが飲みたくなり、コーヒーを飲むとタバコを吸いたくなるという悪循環を繰り返していた。一日に10杯以上もコーヒーを飲んでいたので、とうぜんタバコの本数も多かった。
おれはニコチンとカフェインに強く依存していた。

そのうち<タバコを吸いたい衝動>が来る周期はどんどん長くなっていった。
ひと月、半年、1年と、タバコを吸うのをガマンし続け、今に到る。
禁煙の体験談を記したブログを色々と検索してみると、おれはずいぶんと楽にタバコと縁を切れたようだ。離脱症状に苦しんだり、病院に通たりさまざまな禁煙グッズを試したりろ、それなりにお金を使ったりという人が多い。
我ながら幸運と言うしかない。水とお茶で気をまぎらわせるうちにタバコに手が伸びなくなったのだから。

タバコを吸わない苦痛より、タバコを吸わなくなって体調が良くなった喜びのほうが大きかった。
タバコを吸わなくなって、朝の目覚めはとても快適なものになった。
タバコを吸っていた頃は、目覚めが不快だった。胸のあたりが気持ち悪い。とくにタバコを吸い過ぎた翌朝は最悪で、気持ち悪い上に胸が痛くなったりしていた。
で、どこかで見た「タールで汚れた黒い肺」の写真が脳裏に浮かんでぞっとなる。ところが
旅に出てタバコを吸わなかった。翌朝目が覚めたとき、気持よく目を覚ますことができた。それは何年も味わえなかった気持ちよさだった。
動悸や息切れをしなくなったのも、うれしかった。
ちょっとした階段を上がるのにも息が切れていたおれは、タバコを吸わなくなって半年後、、マンションの非常階段を8階まで登っても平気になっていた。





禁煙した多くの人と同じで、タバコの煙がひどく苦手になった。
屋外の喫煙所や、喫煙可のコーヒーショップを避け、分煙のレストランでは禁煙席に行く。
やむなく街なかの喫煙所の前を通るとタバコの煙にむせそうになって、足速になる。おそらく、その時おれは顔をしかめていると思う。
タバコのにおいがとても苦手になってしまった。

しかし、今でもたまにタバコを吸いたい、と思うことがある。その気持はすぐに収まるけれども、やはり<中毒>から抜け出すのは容易ではない。

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