名刺を渡される。
肩書の箇所に「映画監督」と極太明朝体で書かれている。
失礼ですが、どういう作品をお撮りなんでしょうか?わたくし、映画に明るくありませんもので、ご教示いただけませんか。
すると、彼は胸を張って言う。
はい、現在企画進行中で、これから撮ります。映画館でぜひご覧ください。ご覧いただいたらメールでもなんでもいいですから、
それから幾年月、彼の映画が劇場で公開されたとは聞かない。
彼の消息も知らない。
映画監督とは自己申告の職業である。
その人が映画監督だと名乗れば、映画監督なのだ。
映画監督とはなんなのか。
「自称」ではなくて、客観的に認めうる基準というのは何だろうか。
レンタルDVD用。ついでに販売もしているような「貸しビデオ屋用ビデオ映画」の演出をしているひとが、おれは映画監督だ映画を撮っているおれは奇才であると言っているのに、なんというか違和感を覚えるのだ。
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