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2020/07/17

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』有料配信とアマゾンレビュー。

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』のネット配信代金がとても高い。

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』のネット配信には「セル版」と「レンタル版」がある。

これは「セル版」と呼ばれるものである。
動画ファイルを買ってダウンロードして視聴できる。
シネコンで2週間限定上映されたもので、DVDやBlue-rayから特典映像を外している。
初回はTVシリーズ2エピソード、2巻から7巻までは4エピソードがパックされているもので、1巻につき2,700円で、全部見ると2,700×7で18,900円する。




一方、レンタル版という視聴期限がある方は1エピソード220円、26分のシリーズ26本で5,500円だ。

高い。
暴利である。

商売のしかたが違うとはいえ、NetflixならばHD画質で月額1,200円、4Kでも1,800円でラインナップ作品をいくらでも視聴できる。
しかも中には『宇宙戦艦ヤマト2199』も含まれている。

そう考えると、アニメ単独作品の配信で、これは高すぎる。
しかも、質が高いとは言えない作品である。
ヤマト伝統の高額値段設定という、攻めの姿勢がここにも見られる。

何を行ってるやがるんだこの貧乏人めそのコンテンツに価値があると認めたら18,900円でも5,500円でも安いぞおれなんて2週間日昼メシ抜いたら余裕で見られるぞ安いもんだ。ヤマト最高だぞおまえただしイズブチの2199は除いてだがな。
という人もいるだろう。








『宇宙戦艦ヤマト』とネット配信というのは、なんだかそぐわないような印象がある。
作品のコアな顧客層からすると、Blue-rayとDVDで見るのが本道だろう。

『復活篇』からは、続篇を願ってひとりで何枚も買うという人も出てる。そういう奇特もしくはバカで従順なファンの大量購入に支えられてこその『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』ではないのか。
あーこれテレビまんがでしょ。
ね。まんがでしょまんが。
電気紙芝居でしょ。
テレビまんがはただで見られるんじゃないんですかなんでテレビでやんないんですかそんなのひどいでしょ。ね。
いいですよテレビで放送したら録画して観ますよテレビで。CM飛ばして。
配信とかブルーレイとかDVDは高いでしょ。カネだす意味わかんない。
テレビでやれテレビで。覚えてたら見てやっから。

ごもっともである。ビジネスモデルが変わっただの、コンテンツにカネを払う時代だのという理屈がいまだ通用しない界隈もあるのだ。

といいますか、観てみたけど、これに2,700円も払うのか。
「も」である。
損した。

テレビ放送を待つべきだった。

待ったひとは、テレビ東京系で深夜にひっそり放映していたのをただで録画して楽しめたのである。
深夜アニメの放映枠は、「買い取り」である。
アニメ制作会社が枠を買って放映し、版権商品、おもにDVDやBlu-rayを売って利益を出すというビジネスをしているのだ。
『宇宙戦艦ヤマト2202』は映画館でのイベント上映で宣伝、DVDやBlu-rayを売るというビジネスを展開していた。途中からテレビ放映が始まったが、これはイベント上映にプラスしたプロモーションだったのだろうか。
だとしても、さして販売に貢献しなかったように思えるが。

『宇宙戦艦ヤマト2202』は商業的な価値が低下した商品だ。
『宇宙戦艦ヤマト2199』と比較すると、作画のレベルも演出もメカニズム描写も劣化している。
登場人物の顔が変わったり、デッサンが怪しくなったりする。
それは、TVアニメにありがちなことである。
予算が少ないだとか制作スタッフの質が低いからなのか制作スケジュールがタイトなのか、作品の質が低下してしまう。

この作品では『宇宙戦艦ヤマト2199』に参加していた人たちが外れて、『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』のスタッフが主体となって制作されている。
『宇宙戦艦ヤマト2199』はTVアニメフォーマットながら画が美しかった。
同じことは望むべくもないのだろうか。

作品世界で懸念するのは、波動砲の扱いである。
『宇宙戦艦ヤマト』の第1シリーズ、『宇宙戦艦ヤマト2199』では波動砲が惑星を破壊するほどの破壊力であるということに恐れをなし、極力使用しないようにしていた。
だが、『宇宙戦艦ヤマト2202』世界ではいきなり「拡散波動砲」を備えたアンドロメダタイプの戦艦が何隻も登場して、『2199』世界が否定されてしまった。
ついでにいうと、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』も否定された。
しかも、波動砲にもまして強大なはずの拡散波動砲は敵の戦艦に軽微な損害しか与えることができなかった。
「強大な武器」のインフレが起きる。
そうなると、「強大な武器」が出てきて、「強大な武器」の価値が下がる。
これは、映像面ではハデな画作りになっていいのかもしれないが、物語は大味になっていく。「拡散波動砲」はそうなる予兆を孕んではいないか。

あと、脚本家がいうところの「アメリカのTVドラマみたいにする」ということなので、伏線だのフクザツな設定にばかり力を入れていると、肝心の物語としてのおもしろさへの配慮にかけるという本末転倒になりはしないだろうか。

レビュー欄を読む。
視聴意欲をかき立てるか、と言うとその効果がないように感じた。



アマゾンのレビュー欄というものは、どう考えればいいんだろうか。
ごく普通のユーザーを装った宣伝の投稿、もしくはネガティブな評価をして販売を邪魔するような投稿も掲載される。

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』のレビューは、星5つを付けているものが多いことに感心する。
星5つの評価のレビューは文章が短い。薄い。


相当満足したので、短いコトバで充分ということなのだろうか。

対して、低い評価を書いているレビューは長文が多い。しっかり視聴した上で、レビューしている。

高評価レビュワーは。キチンと作品を観たのだろうか。
観ていないのだろうか。
疑心暗鬼にかられる。
きわめて低レベルのステルス・マーケティングではないのか、という疑念を持つ。
工作員とは言わないが、制作会社の社員や関係者や出入り業者で頑張ってレビューを書いて〈世論〉を形成しようとでもいうのだろうか。

高額な値付けは、 

「新しいファンがいねえんだよ、おめえら昔からヤマト好きなんだろ新作作ってやったんだからよありがてえだろうおまえらたんまりカネ出せや」

 である。
Blue-rayやDVDはいうまでもなく高額。
レンタルで観るとお金は少なくて済むが、レンタル店は閉店の傾向で借りようとしても借りられないという人が増える現状だ。
だからこその有料動画配信である。
しかし、高い値付で配信だ。
内容に自信があって高い値付にしたのか。
財布の紐が緩い熱心なファンをターゲットにしたのか。

『ヤマト』という名前にプレミアム性があると、 製作者は思っているのだろう。だとしたら、高い品質の作品に仕上げるべきだが、その逆の結果となった。

Blue-ray/DVDが出たが、『宇宙戦艦ヤマト2199』の初動の4割減。
売れていない。
Blue-ray/DVDの売れ行きが芳しくなかったら、その末路はたやすく想像できる。
テレビ放映はなく、少ない数のお客さんが高額な配信を利用するというビジネスで終り、殆どの人は観ることもなく終わる。
いや、最悪の場合には途中で終わる。
『YAMATO2520』の悪夢ふたたび、である。

というようなネガティブな未来にならないことを祈ってやまない。

【追記】
続編『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』と『宇宙戦艦ヤマト2202』総集編映画がアナウンスされている。
しかし、 続報は聞かない。公式ウェブサイトもない。

『宇宙戦艦ヤマト2202』Blu-ray BOXは今のところ出ていないので、代わりに『宇宙戦艦ヤマト2199』Blu-ray BOXをご紹介。









2 件のコメント:

  1. お久しぶりです。以前、「宇宙戦艦ヤマトのテーマは愛だって?」に書き込みをさせて頂いた者です。

    >『宇宙戦艦ヤマト2202』世界ではいきなり「拡散波動砲」を備えたアンドロメダタイプの戦艦が何隻も登場して、『2199』世界が否定された。

    先日レンタルで視聴しました。旧作の『さらば』をも凌ぐ「復興」の凄まじさ(笑)現実には「大砲もバターも」とはいかないはずなのですが。『星巡る方舟』で、同胞に銃を向けなければならない立場に立たされた斎藤の怒りが描かれたばかりだというのに…。対ガミラス戦後の地球は、かつての「大日本帝国」や某国の「先軍政治」も顔負けの有様になってしまったようですね。地球とガミラスが同盟を結んだという設定も、昭和期の『ヤマトⅢ』における、地球とガルマン・ガミラスの関係を彷彿とさせます。ガトランティスのポジションは、ボラー連邦でしょうかw現実の「東西冷戦」がもろに反映されていた内容だっただけに、本作の構図も現下の状況と関連付けると何やらキナ臭いものを感じます。余談になりますが進水式での4隻そろっての発進シーンの演出は『銀河鉄道999』のオマージュ(?)でしょうかw

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    1. 土台になっている『さらば宇宙戦艦ヤマト』が滅茶苦茶ですから、作り直してもやはり滅茶苦茶ですね。
      どうなんでしょうかね。
      今後、『2202』って、愛国者方面に媚びを売るような中身になるんでしょうか。
      そんなにマーケットは大きくない気もするのですが・・・

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