『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』公開は、「ネクストウィンター」だという。
「宇宙戦艦ヤマト:次回作「2205」は「短期決戦」 公開は「ネクストウィンター」 福井晴敏が明かす」
2020年2月3日https://mantan-web.jp/article/20200203dog00m200079000c.html
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公式ウェブサイトも(2020年7月末時点では)まだオープンしていなくて、ほかのプロモーションも行われていない。
制作会社が運営する『宇宙戦艦ヤマト2202』の公式サイトにも新しい情報は出ていない。
約半年、新作の情報は出ていない。
映画興行や演劇、音楽のライブイベントについて今年の秋以降、来年あたりまでの様々な情報が発表されている。
中止、延期、ライブからネット配信への変更などの告知である。
今年最大の話題作
動向を気にしているお客さんのことを考えれば当然するべきことだ。
しかし、ふたつの新しい『ヤマト』については情報がない。
その理由を考えてみよう。
あくまで仮説であり妄説なのだということはお断りしておく。
『ヤマト』新作の情報がない理由
1)ヤマトファンを焦らす、高度な戦略かもしれない
それかもしれない。
だとしても、「匂わせ」「じらし」の何らかのインフォメーションは出すべきである。
この地雷手法に業を煮やしたのか、一部のヤマトファンが、ソーシャルメディアで宣伝活動をしているものの、拡散も炎上もないのが現状だ。
『宇宙戦艦ヤマト2199』で拡大した『ヤマト』のマーケットだが、『宇宙戦艦ヤマト2202』の失敗で、マーケットは縮小してしまった。
2)人手不足・カネ不足で情報発信ができない可能性
なので、情報発信もままならないという可能性がある。
たとえば、不払いが原因で。
『ヤマト』は旧作時代から金銭トラブルが多かった。養子となって権利を引き継いだ人も、その悪しき習慣をも継承したのだろうか。
ネットを使った宣伝施策に懐疑的なのかもしれない。
ボイジャーエンターテインメント株式会社のあまりにも味気ない企業ウェブサイトを見ると、そんな気もする。
3)制作延期もしくは制作中止になった可能性。
『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』と『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』制作中止、または延期が検討されているか、すでに決定している。
その可能性は高いと思われる。
秋もしくは冬の公開が決まっていたとすれば、アニメ制作が要する期間から考えると、かなり制作が進行していたはずである。
制作が中断したら、制作再開後の見通しや公開スケジュールの見通しなど、何らかのインフォメーションがあってもいいと思うが、2020年7月末時点でそんなものは公には出ていない。
1月中旬に始まった新型環状肺炎ウイルスの感染拡大。
日本もその例外ではありえず、アニメ業界も大きな影響が出た。海外依存度の高いアニメ制作、声優が集まることが濃厚接触となるアフレコなどがストップし、1月放映のTVアニメの放送休止および中止や延期が続出した。
当然、4月・7月・10月放映開始予定のアニメ制作にも大きな影響が出ている。
2−5月の「自粛」により、アニメの製作時期がずれ込んで、おもにテレビ放映の作品の放映/配信/公開時期が変更された。
新型コロナウイルス情勢・対応
アニメ制作の時期のズレによって、作品によってはアニメーターを確保できない作品も出るだろう。1月・4月に放映するはずだった作品の制作が遅延した影響で、夏、秋、冬、2021年以降の作品もスタッフの確保、スケジュールづくりに苦労している。
では、『ヤマト』はどうなのか。
インフォメーションがないので、楽しみにしている人は不安だろうと思う。
新作『ヤマト』がどこまで制作が進んでいるか、新型コロナウイルスの影響をどの程度受けているのか、さっぱりわからない。
4)「ヤマトマーケット」縮小により、制作中止の可能性。
この作品の制作中止と予想するもう一つの理由は、『宇宙戦艦ヤマト2202』が引き起こしたヤマトファンの大量離脱の影響である。
『宇宙戦艦ヤマト2199』のファンを引き継げず、ファンが離れた。
『宇宙戦艦ヤマト2202』は「あさって」に行ってしまった作品である。
ヘンな紋様がついた戦艦やダニのようなパワードスーツやヤマト型でセンス最悪の「銀河」とかメカの描写に時間が使われてストーリがそのぶん雑に削り取られてしまった。
人物の描写は、メカ描写に時間が取られたぶん、少なくなった。
少なくなった時間は、新登場登場人物重視に時間を使われて、メインキャラクターの描写が著しく減少した。古代も森雪も真田さんもモブみたいに目立たなくなった。
クライマックスがすごい。
というか、ひどい。
ベースとなった『さらば宇宙戦艦ヤマト』の超巨大戦艦への特攻・散華エンディングを、〈高次元世界〉だかに突入というスピリチュアルな場面に書き換えるという、ヤマトファンが想像もしなかった地平に到達した。
『完結編』から26年後の2009年に公開された『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』は興業的に惨敗を喫して興行収入は3.9億円。
『宇宙戦艦ヤマト2199』は「イベント上映」「パッケージソフト(Blu-ray)「TV放送」「配信」と順次展開してトータルでは100億円を超える経済効果を生み出した。
しかし、『宇宙戦艦ヤマト2202』では離れた。
DVD/Blu-rayの売上は『2199』から半減近くとなり、プラモデルの数はとても少ない。
『ヤマト』にカネを使ってくれるお客さんが減ったのだ。
普通、こういった場合にはマーケットリサーチをして、新作にGOサインは出さないと思うが、製作者たちはヤマトファンからまだ搾り取れると判断したようだ。
何年かのちには、ファンがいなくなる、時限マーケットによって成り立つ作品だ。
コロナ禍の影響や、「製作委員会」参加企業が減った、なにより想定できる顧客=ヤマトファンの影響を鑑みての「制作中止」もあるのではと予想する。
とはいえ。
『宇宙戦艦ヤマト2205』がきちんと公開されたらいいですね。
続くのは『ヤマトよ永遠に』『完結編』『復活篇』のリブート、『復活篇第2部』なんですから。それまでヤマトファンが存命かどうか、わからないけれども。
『ヤマト・ビジネス』は新規顧客がいないので、既存客からふんだくるだけふんだくるビジネスなのだ。「『ヤマト』にカネを使うのは税金と同じ」などというファンがいるかぎり、ある程度儲けることができるんだろう。
ああ楽しみだな『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』。