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2017/05/17

『パッセンジャー』とは男の幼稚な夢、女の悪夢である。

『パッセンジャー』は、無人島サバイバル映画の変形である。

無人島映画には、美男美女が無人島に流されてしまうというものが何本かある。
それを思い起こす。


『パッセンジャー』も、誰もいない宇宙船で美男美女が仲良くなったりそうでなくなったりして大変ですよという物語だ。


この映画の見所は、宇宙船内での優雅なサバイバル生活の様子。

しかし、この映画は大きな問題がある。
それを受容できないと映画の後半は楽しめないだろう。




『パッセンジャー』は映画ならではというべきお話だ。

他の惑星への移住者を乗せた宇宙船アヴァロン号を舞台に、冷凍睡眠から目が覚めた男と、男が目を覚まさせた美女の物語である。
移住先に到着するのは120年後。乗客は冷凍睡眠に入っている。
小惑星が宇宙船にぶつかってトラブルが発生。
主人公の男は目を覚ます。
男はエンジニア、何とかして冷凍睡眠に戻ろうとするも、できない。かれは残り90年を1人で過ごさなくてはならない。


冷凍睡眠がガラスに覆われたカプセルだというのが、古典的というか、なんというか。
この状態で120年眠るというのが説得力がない気がする。


別にガラスに覆わないでも、それこそアメリカ映画の死体置場に出てくる金属製の棚みたいなベッドに入れて管理しておいてもいいのにと思ったが、そこは映画だから、わかりやすい画にするということなんだろうか。

恒星間航行を実現するほどの文明社会なのだから、バイオテクノロジーも医学も進歩していないとおかしい。
となると、こんな宇宙船ではなく、乗客たちのDNAを運び、目的地の惑星に着いたら人間の形に復元するなんてこともできそうだとぼんやりと思った。
これも画にはならないんだけど、ゴーストというかソウルが見ている夢として映画世界はできるかもしれない。
しかし、もうひとり、冷凍睡眠から覚めた宇宙船クルーは不治の病にかかっている設定だったので、医学は進歩していないかもしれない。とか思ったら、てひどい傷を負った主人公が自動医療機械に入れられたら治っちゃった。
よくわからない。

宇宙船は、恒星間航行のほとんどの時間、乗客たちは寝ている。
にも関わらず、豪華な施設を持っている。
主人公(ともうひとりの登場人物)は、楽しい無人生活を謳歌する。
その描写は楽しめる。

無人島映画なので、世界から取り残されたふたりが対立する場面もある。

この映画は、「寂しさが募ったあまりの過ち」を描いている。
それが主軸になっているが、主人公に共感できるかできないかで、この映画の評価は大きく違うものになるだろう。







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