映画の楽しさのひとつは、これまで観たことのないものを観ることができることだ。
例えば、観たことのない風景、これまで、どの映画でも観たことのないようなアクション・シーン、意外性のあるおぞましい怪物の出現。
それらがたっぷりつまった映画がある。
『GANTZ:O』は、映画の楽しさに溢れた快作だ。
予想もしない場面がつぎつぎと出てきて、たっぷり楽しませてくれるエンタテインメントの傑作である。
話が遅滞することがない。
アクションに目を奪われて口を開けつつエンドタイトルだ。
「たっぷり楽しませてくれる」という邦画はそうそうない。
この映画は『マッドマックス:怒りのデスロード』と同様で「観る快感」に満ちている。
おぞましい怪物たちが大阪の道頓堀に出現、破壊と殺戮を繰り広げる。
それを倒すべく、GANTZによって送り込まれた、「死んだはずの人間たち」が生還を賭けて闘いに挑む。
見たことのないような斬新なアクションに次ぐアクション、停滞のない展開で、気がつけば90分、エンドタイトルだ。
この映画はフル3DCGで作られている。
『GANTZ:O』を観た。
『GANTZ』は原作漫画を読んだことがなく、これまで映像化されたアニメ版も実写版も観ていないが、この作品についての高い評判を聞いて。
Oは「ゼロ」ではなく、「オー」なのだそうだ。大阪が舞台だから「オー」というのだろうか。
ストーリーを紹介しておく。
東京。
地下鉄で通り魔事件に巻き込まれ、殺された高校生の加藤勝。
次の瞬間、加藤はとあるマンションの一室にいることに気づく。
そこには「東京チーム」のメンバーがいる。
彼らは、自分たちは死んだ人間だが、GANTZによって蘇り、星人と呼ばれる侵略者と闘うようになったのだ。殺されたら文字通り消えてしまうのだという。
加藤も、GANTZに選ばれたのだ。
「東京チーム」と共に転送された先は、正体不明の星人が暴虐を尽くす大阪の道頓堀だった。
加藤は命がけのサバイバルバトルを余儀なくされる。
曲者揃いの大阪チームとの遭遇。
強い力を持った星人=妖怪との戦闘。
加藤は、大阪チームの山咲杏と顔を合わせる。杏はシングルマザー。
なのに、戦いに身を投じていた。
加藤はたった一人の家族である弟のもとへ帰るために、死線を潜り抜けていく。
加藤らの前に大ボス「ぬらりひょん」が立ちはだかる。
この映画はお話を思い切りシンプルにしてあり、アクションを徹底的に見せる。
息もつかせず、アクションに次ぐアクション、それも観たことのないようなものが繰り出されるものだから、目が離せない。
日本映画にありがちな弛緩した描写や間延びした演出がない。
人物の、薄っぺらい感情的な絶叫セリフもない。
ハンディカメラで撮られたかのような揺れた画面で、意外なアングルからのバトルを見せる。動きのリズムが快感で飽きない。
アクション描写のリズムの良さがくせになって、見終わるとまた観たくなる。
同じような映画ないかと考えると、『マッドマックス:怒りのデスロード』である。
国産フル3DCGアニメ映画の革命を成し遂げた映画だ。
フル3DCGアニメはこれまでにも登場してきたが、面白いものがない。
士郎正宗の『アップルシード』は都合3回、フル3DCGアニメ映画化されているものの、「まるで実写みたいな映像」を見せるが、それをうまく使って面白い映像やストーリーを見せてくれるというのではない。
30億円かけたと宣伝した『キャプテンハーロック』は、「つまらない」のひとことで言い表すことのできる映画だ。それだけ。
なぜ予算を質の高い脚本開発に使わなかったのだろうか。
CGだから、ダメなのではない、
つまらないな話をやってるからダメなのだ。
国産フル3DCGアニメ映画は、「ほら、リアルでまるで実写みたいでしょ」というのを見せるという時点から先に行かないものばかりだ。
「実写みたいなリアルさ」を追求したところで、そんなものみたけりゃリアルな実写映画を見ればいいのである。
映画として創るのならば、面白くて楽しめるものにしなければ意味はない。
ぶっちゃけ、実写だろうと2Dアニメだろうと3Dアニメだろうと、「面白さ」を提供できなければ意味はない。
フル3DCGアニメってすごいでしょ、で終わっているのではダメだ。
今では、誰もフル3DCGアニメに対する期待など持ってはいないという事態に至る。
そんな中、『GANTZ:O』は登場した。
この映画はおもしろかった。
そのひとことで済む。
これはすごいことである。
『GANTZ:O』は文句無しの傑作映画だ。
90分の快楽を保証する。
必見である。
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