これで『宇宙戦艦ヤマト』も終りかと思った。
だが、驚いたことに、Blu-rayとDVDはけっこうな数、売れたのである。
映画興行として失敗した『宇宙戦艦ヤマト復活篇』は、ビジネスとして成立していたのだ。
○宇宙戦艦ヤマト 復活篇
区分 初動 2週計 累計 BD(DVD)
BD(DVD) BD(DVD)
劇場版 10,573(15,327) 12,516(18,370) 14,938(30,530) ※合計 45,468枚
劇場版 *4,088(*2,116) *4,806(*2,725) *5,317(*3,423) ※合計 *8,740枚
(ディレクターズカット)
ソフトにすると、顧客単価が跳ね上がって利益が出る。
ミスの訂正や編集のやり直し、音楽の入れ直しによってオリジナルよりも見やすくなったと思われる『ディレクターズ・カット版』があまり売れなかったのは不思議である。
『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』とは、Blu-rayとDVDの売上とそれよりも大きかったと思われるパチンコの版権料で、実は利益を上げていた。 それは、幅広く人気を集めた結果では、もちろんない。
一部の熱心な『ヤマト』ファンがカネを使ったのだ。
『ヤマト』を支えてきた古くからのファンは可能な限りキレイな映像/音声で記録された媒体を所有していたい、という気質を備えている。
遠い昔、彼らは高額なビデオデッキとテープを買って標準モードで録画し、VHSソフトを買い、レーザーディスクが出たらプレイヤーとディスクを買い、DVDが出たらプレイヤーとディスクを買い、デジタルレストアされたHD版Blu-rayが出ればプレイヤーとディスクを買い、おそらくは新しい規格のUltraHDが発売された場合、プレイヤーとディスクも買う。 老人アニメファンの光学媒体購買率は異様に高い。新しい規格が出たら、同じタイトルであっても買い直す。
『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』の場合、続編製作を祈念して、ひとりで何枚も購入するという人が少なからずいた。
AKB商法みたいだ。こういうことにお金が使えるというのはファン心理ゆえなのか、裕福で苦にもならない人が多いのか。
これはマーケティングでいうと、中核となる上得意客を捕まえて、満足させて気持ちよく(またはある種の強迫観念を与えて)お金を使わせる、「顧客価値の極大化」の成功事例である。
『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』は、客単価の極大化によって愚作でも駄作でもお金儲けができると実証した。
これに倣うビジネスができる可能性はある。
作品の出来はどうあれ、ネットでの評判が良くなくてもBlu-ray・DVDを売ればいいのだ。
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』はネット配信もあるが、やはりBlu-ray・DVD販売が主力だと思う。
『ヤマト』は、Blu-ray・DVD販売最後の牙城かもしれない。
ただし、Blu-ray・DVD販売を頼りにするビジネスは終焉が近づいているのも確かである。日本のアニメにまつわる景色は、2,3年でがらりと変わるかもしれない。
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