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2016/07/07

反復の『インデペンデンス・デイ : リサージェンス』

『インデペンデンス・デイ : リサージェンス』を観てきた。
すでに公開済みの国で観た。






SFXとVFXの20年のめざましい進歩を目の当たりにできる映画だ。
悪い宇宙人が巨大な円盤に乗って襲来して、正義に燃える地球人が闘いを挑むのだ。
スゴイよ!
ものすごく大きな円盤が地球に襲来する。
地球は20年前と同じように滅亡の危機に直面する。
ものすごく大きな円盤には凶悪な宇宙人が乗り組んでいる。
地球の運命やいかに。

1996年に公開された『インデペンデンス・デイ』監督ローランド・エメリッヒによる、20年ぶりの続編である。

なぜ、ローランド・エメリッヒは仕事が途切れずに大予算の映画の監督ができるのだろうか?
見終わって、かねてから抱いていた疑問をまたもや思い起こす。

ローランド・エメリッヒは、大予算のカタストロフ映画を多数撮ってきた。

ユニバーサル・ソルジャー(1992年)
スターゲイト (1994年)
インデペンデンス・デイ (1996年)
GODZILLA (1998年)
パトリオット (2000年)
デイ・アフター・トゥモロー (2004年)
紀元前1万年 (2008年)
2012 (2009年)
もうひとりのシェイクスピア (2011年)
ホワイトハウス・ダウン (2013年)
インデペンデンス・デイ: リサージェンス (2016年)

SFとディザスター、大作で長尺な映画が多い。
共通するのは、ストーリーも人物描写も貧弱、薄っぺらいことと、SFX・VFXを駆使して派手なカタストロフシーンを撮ること。

作品の評価は、いずれも高くはない。
映画の「お約束」はなぞるが、義務的にやっている感が強い。
はいイントロダクションですはい危機ですはい敵ですはい恋愛ですはい家族の絆ですはい人物の描写ですと義務的に提示される。
ファストフード店に行って、新メニューのおいしそうな写真をみて、思わず注文してみる。
食べてみるとおいしくない。
そういう感じの映画ばかりだ。ハリボテなのだ。

けれども、どの映画も大ヒットして、カネを稼ぐのだ。
映画は興行であり、お金儲けが肝要なのは言うまでもない。
したがって、キチンと客を呼んで映画館をいっぱいにする映画監督は正しいのだ。
内容はこうだとか作家性はどうかとかばかり言う映画オタクのいうことなど、どうでもいいのだ。
血も硝煙も目を背けたくなる描写もない。
誰でも見られる映画で、スクールバスに乗った小学生が危機に陥る場面があったりする。そこがクライマックス。

さて、『インデペンデンス・デイ : リサージェンス』である。

だけど、20年前に地球を襲ったエイリアンの円盤から超テクノロジーを手に入れて、宇宙への行き来は簡単になっている。
中国での上映を意識したのか、中国系の役者、中国のコミュニケーションツール、QQ、中国の牛乳などが出てくる。
そのせいか、中国における興収は100億円に到達しそうである。

あと、何といっても美人が出てくるのがいい。




アンジェラベイビーの美しさ。
この映画は、アンジェラベイビーにうっとりしているうちに終わる。

宇宙人も登場して侵攻してくる。
怪獣映画ぽい展開もある。
本多猪四郎監督を尊敬するあまり、『宇宙大戦争』を丸パクリしただけのことはある。

20年前の映画の登場人物もウィル・スミスを除いてみんな出てくる。

飽きずに観ることができた。
が、高精細のゲーム画面を大きなスクリーンで観ているような感覚だった。映画世界のリアリティラインは低くて、見栄え優先である。
2016年に公開された映画だけど、総じての印象は1950年代ぽい。

3D表現は見事で、編集のテンポもいい。
できるだけ大きなスクリーンで鑑賞するといいと思う。

エントリー名を<反復の『インデペンデンス・デイ : リサージェンス』>とした理由は単純で、第1作と同じようなおはなしになっているからだ。
永劫回帰の構造を持っているのかもしれない。

この映画はローランド・エメリッヒによる、ローランド・エメリッヒらしい映画だ。それがすべて。

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