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2015/12/12

『宇宙からのメッセージ』VS『惑星大戦争』

ジョージ・ルーカスの『スターウォーズ』は1977年5月に全米で公開されて大ヒットした。
1977年の夏にはTVシリーズを再編集した、カットによって登場人物の顔がコロコロ変わるでおなじみの劇場版『宇宙戦艦ヤマト』も公開された。
アメリカでの『スターウォーズ』の熱狂が喧伝されて、SF映画ブームが巻き起こった。

しかし、日本での公開は1978年の夏となった。1年以上のブランクがあった。
すると、日本の映画大手2社が動いた。突如巻き起こったSF映画ブームに便乗し、本家の前に一儲けしようと急遽映画を作った。
1977年12月、東宝はお正月映画として『惑星大戦争』を公開した。
東映は1978年4月に『宇宙からのメッセージ』を公開した。






『惑星大戦争』は、昔むかしの1963年公開の映画『海底軍艦』に出てきた海底軍艦・轟天号が宇宙軍艦に改造され、異星人と闘うというロマンいっぱいの映画。
わずか2ヶ月で撮ったという突貫工事で作られたロマン溢れる作品だ。
艦首の巨大ドリルで敵を粉砕という男らしさ!なんというロマン!
ロマンはあったけれども、興行には結びつかず、轟天号はあえなく轟沈。
吊り下げ用のピアノ線が見えるという潔さ、新しさを狙っても1960年代に考えたかのような<新しさ>になっているのが、じつに味わい深い。



年老いた星からやってきた侵略者・銀河帝国の大魔艦が太陽系にやってきて、金星を占領。地球は急いで宇宙軍艦轟天号を建造、金星に向かう。
で、アレっぽいラストがある。
が、アレよりも半年くらい早くアレしたんだな。
ありべでるち。

こういう映画って、DVDレンタルがなかったり、高い金を出してDVDを買おうと言う気に鳴らない人も多いはず。
しかし、Amazonビデオで配信しているので、観たいと思い立ったらコーヒーを一杯飲むむらいのお金で鑑賞できる。
見る人はレビューも必読である。
「特撮ファン」「東宝特撮ファン」というような人々の思考法がなかなか良い。
生きるには、どんな時でも明るくポジティブに考えたほうがいいなと思わせる。




さて、『宇宙からのメッセージ』である。

ひとことで言うと、闇鍋である。

「映画」という鍋に、色々なものを放り込んで、しかも充分煮ていない。
そういう映画だ。
『宇宙からのメッセージ』の原案には石森章太郎、野田昌宏、深作欣二、松田寛夫がクレジットされている。
深作欣二が「南総里見八犬伝」をベースにしたストーリーを構想し、シナリオが作られたのだという。

惑星ジルーシアは、宇宙侵略を繰り返すガバナス帝国によって征服され、いまやガバナスの要塞と化している。
ジルーシアの長老ギドは伝説の「リアベの実」8つを宇宙に放ち、リアベの実が選んだ8人の戦士を連れてくるように孫娘エメラリーダ姫に指示する。
戦士ウロッコをお供に、エメラリーダ姫は宇宙帆船エメラリーダ号で旅立つ。
8人の戦士が集まる。
メンバーはジルーシアの戦士ウロッコ、宇宙暴走族2人、宇宙オ金持ち令嬢テンバ、元宇宙軍の将軍と彼が連れているC3-POとR2-D2を足して2で割ったみたいなロボット、ガバナスの正当なお世継ぎの王子様、関西弁を操る宇宙チンピラ。


石森章太郎、野田昌宏というSFのプロパーも参加していたものの、宇宙ホタルを取るために宇宙遊泳するというシーンがあるし、出てくる銀河宇宙はもろ書割だとわかるシーンがあったりして、うまく機能していなかったんだろう。





この映画は京都にある東映太秦撮影所で撮影された。
太秦は東映の看板である時代劇映画「専用」の撮影所である。時代劇以外の映画やテレビ作品は大泉の東京撮影所で作られていた。
本作が京都撮影所作品ということは、東映はこの作品に大変な意欲を持って取り組んだことがわかる。

この映画は、ガバナス皇帝ロクセイア12世を演じる成田三樹夫と彼の母大公母ダークを演じる天本英世の演技を見るだけで元が取れる。
千葉真一と志穂美悦子ももちろん、いい。
成田三樹夫と千葉真一の殺陣は東映京都の空気を感じさせる。

そして、ヴィック・モローとその声を演じた若山弦蔵に痺れる!
クレジットに「日本語版制作 東北新社」とあるので、国際版というか英語版というか、そういうのもあるんだろうけど、日本語版で若山弦蔵のカッコよさを味わうべきだ。

ぶっちゃけ、『スターウォーズ』のエピソード1から3観るよりこっちのほうが100倍も楽しめる。
深作欣二監督の、娯楽映画の大家としての実力がいかんなく発揮された映画だ。


マジで。

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