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2015/11/21

アベンジャーズ対仮面ライダー、大予算対小予算、もしくは豊穣対凶作



『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』を見た。

アイアンマン、キャプテンアメリカ、マイティー・ソー、ブラックウィドウ、ホークアイ、超人ハルクといったマーベルコミックのヒーローたちが共闘する豪華な映画だ。
ヒーローたちが力を結集して、人工知能<ウルトロン>と闘う。
実際に映像を見ると、興奮してしまう。
当然、各ヒーロー/ヒロインには見せ場が用意されている。3Dならではの見せ方をしっかり心得ていて胸がすくアクションで楽しませる。

冒頭、移動ショットでいきなりヒーローたちが決め技を次々見せてくれる。その時点でハートはがっちり掴まれてしまう。
ヒーローものは、何よりもアクションだ。


ブラック・ウィドウのスカーレット・ヨハンソンがよかった。

ブラック・ウィドウがバイクに乗ってソウルの道路を疾走しつつ、敵と闘うシーンがすごくいい。彼女はヘルメットも被らず疾駆する。
仮面ライダーがやらなくなったバイクアクションだ。


アイアンマンも、もちろんカッコいい。
動いていない時のフォルムは、そんなにカッコいいとは思わないのだけれど、飛行シーンやバトルシーンの圧倒的なカッコよさに高揚する。





映画として同じ構造を持つのが、劇場版『仮面ライダー』である。

歴代の仮面ライダー、ときにスーパー戦隊が集まって敵と戦う。ヒーローたちの結集という一点で同じだが、目にする映像は全く異なるし、同じ「映画」とも思えない。

違いは何なのだろう。







 劇場版『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』

1973年2月10日。
ショッカーを全滅させ、首領を倒した仮面ライダー1号&2号の前に、未知の敵が出現した。その名は、仮面ライダー3号。その圧倒的なパワーにダブルライダーは敗れ去った。
世界はショッカーによって支配された。
時は流れ、現在。
あれから幾人もの仮面ライダーが誕生したが、ほとんどはショッカーに倒され、ショッカーライダーと化していた。それでも不屈の闘志で戦い続ける者もいたが、彼らはショッカー、そして警視庁特状課の標的となっていた。
今、仮面ライダーBLACKこと南光太郎もまた、ショッカーに敗れて死ぬ。


ストーリーを読むと、この映画が「一見さんお断り」なのがわかる。
仮面ライダーのTV版や映画版の<お約束>を知ってる人はどうぞ、ということだ。

『アベンジャーズ』、続いて劇場版『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』のDVDをドライブに入れて、音を消して見てみる。

SFX/VFXのシーンを音を消して見る。

『アベンジャーズ』と『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』とは、まったく違う。

SFX/VFXは、安価に速くできるようになって、予算による差異は限りなく小さくなったと思っていたが、それは大きな間違いだと気づいた。
音がない 『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』からは<安っぽさ>が漂ってくる。
手間ひまのかけ方がまるで違う。
もちろん、カネのかけ方だってまるで違うのがよくわかる。
「仮面ライダーを知っている」人向けに作る映画と「文化も言語も違い、マーベルヒーローを知らない観客にも見てもらう」映画の違いだ。

平成仮面ライダーや宇宙刑事ギャバン、人造人間キカイダーなど、東映のVFX/CG映画は
TVシリーズの片手間に作られている。これに加えてDVDスルー(販売/レンタル用に作られる)の映画や、ネット配信用ムービーなども作ってる。
練られている痕跡がまったく感じられないシナリオ、それを早撮りしてラフなVFX/CGでお化粧したり、キズをごまかしてる。
仮面ライダー映画は、ライダー同士の対戦を作るためなのか、歴史改変とか平行世界という設定をよく持ち出す。ま、デウス・エクス・マキナともいう。頭が悪い人のやり方だからいい加減にしたほうがいいんじゃないか。
いや、目くじら立てるというわけじゃない。
物語をじっくり練る、脚本を作るという工程を軽視していることがわかって嫌な気分になるのだ。
しかも、わざわざチケットを買って観に来る観客、とくにずっと劇場版仮面ライダーを楽しみに足を運び、多くの場合、嘆息で以って劇場から重い足取りで帰る観客の不満を酌み取る気がないようだ。
ただ、こういったファンは劇場版仮面ライダーの瑕疵を承知して足を運んでいるようなので、ある種のもたれ合いになってる。
不思議だ。

『アベンジャーズ』と『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』の共通点は、シネコンで上映されるものであるということくらいだ。


ハリウッド大作も東映特撮映画も同じ値段。
納得できない。
すき家の並盛りの牛丼も、叙々苑の焼肉ランチも同じ料金だと言って並べて恥じない。それが映画興行なのだ。
しかも牛丼は高い値段であるにも関わらず、材料も味もダメなのだ。
 




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