現在私のいる場所では『ゴジラ』が公開されているので、3D版を見てきた。
芹沢博士は、古い懐中時計を米軍空母の艦長に見せて言う。
「この時計は、1945年8月6日に止まったんです」
「広島か」
芹沢は、これは父親の形見であると言う。
2014年ハリウッド版『ゴジラ』は、「核」がカギとなる映画だ。
映画は日本の原子力発電所でのメルトダウンのシーンで始まる。
映画には核兵器と、それを食糧にする怪獣ムトーも登場する。
この映画は、核実験の影響で産まれた怪獣ゴジラを<大自然が遣わした神>として深い畏怖の念を込めて描いている。
本多猪四郎が監督した1954年の『ゴジラ』。
そこで登場し、漆黒の東京を睥睨するゴジラは怖ろしい姿だった。
60年の時を経て、畏怖すべき対象としてのゴジラに立ち返った。
それが今回の『ゴジラ』だ。
今回の見所は、ゴジラの威容である。
これは正しい。
怪獣映画とは、怪獣の巨大さ凶暴さ強さ美しさを愛でるものだからだ。
映画を見ていて、ゴジラやムトー登場の場面は口を開けて見入ってしまった。
あまりにもでかい。なにしろ100メートルを超える、30階建てのビルに相当する巨大さなのだ。
そしてゴジラの咆哮は、圧倒的だ。
ラスト前、雄々しく立って咆哮するゴジラの勇姿に胸打たれた。
この映画の最大の見所はラストの直前にあるのだ。
その姿が、「ガメラ2 レギオン襲来」ラスト、空に飛び立たんとするガメラの咆哮に重なった。
ギャレス・エドワーズ監督は間違いなく平成『ガメラ』シリーズを見ているだろう。
怪獣のありかた、軍と怪獣の戦いの描き方などに『ガメラ』に共通するものが見られる。
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ギャレス・エドワーズ監督の前作は8千万円(約100万ドル)の予算で制作した怪獣映画(ウィキペディアによれば機材費1万5千ドル、制作予算50万ドルとある。いずれにせよ、ハリウッド映画としては超低予算といっていい)『モンスターズ/地球外生命体』という作品だ。アメリカの映画としては低予算だが、それを感じさせない。
今回のゴジラは160億円の予算。
『モンスターズ / 地球外生命体』によって見出されたギャレス・エドワーズは次回作で200倍の予算という、ブロックバスター映画の監督を依頼されたのである。
夢のある話だ。
ギャレス・エドワーズ版『ゴジラ』は志のある映画である。
60年前、1954年の本多猪四郎版『ゴジラ』がそうであるように。
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