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2014/06/19

ゴジラ50周年記念映画『ゴジラ FINAL WARS』のデタラメを評価する。

2004年に公開された『ゴジラ FINAL WARS』は幕の内弁当のような映画だ。

冷蔵庫のなかをを漁って、有り合わせのもので料理を作って弁当箱に詰め込んでみたら、案外おいしい弁当になった。
そういう感じだ。
料理方法もさまざまで、和食中華洋食ジャンクフードにデザートまでバラバラなのが詰め込んである。


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50周年で、しかもゴジラ映画はひとまず終了なので色々と盛りつけてみました。
色々とサービスもしてみましたよ。
そういう映画だ。



『ゴジラ FINAL WARS』はゴジラ50周年記念映画である。ゴジラ映画を筆頭とする、東宝特撮映画オールスターズを回顧する映画でもある。

映画の冒頭、ゴジラは南極における轟天号との戦いにより、氷塊の中へ封じ込められた。

それから50年が過ぎて、時は近未来。
人類が核実験や戦争を繰り返した結果、眠っていた多くの怪獣が覚醒して世界各地で暴れだした。
これに対抗して、国連は「地球防衛軍」を結成した。同時に身体能力の優れた人員を集めた部隊「M機関」を組織した。
「M機関」が闘う対象とは、ゴジラであった。
ゴジラは1954年に初めて出現した。それ以降世界を幾度もなく恐怖に陥れた怪獣の王である。


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地球防衛軍の最新鋭空中戦艦・新轟天号は、ノルマンディー沖海底で怪獣マンダと交戦し撃退する。しかし、新轟天号も著しく損傷してしまった。艦長のダグラス・ゴードン大佐はその責任を問われ、軍法会議にかけられて幽閉される。
一方、日本人初の国連事務総長・醍醐の搭乗する航空機が消息を絶つ。
同時に世界中に大量の怪獣が同時に出現した。苦戦する地球防衛軍。
だが、怪獣たちは突如として消滅し、巨大なUFOが東京上空に出現した。
UFOから醍醐が姿を現し、X星人と名乗る宇宙人に救出されたと話した。X星人は地球に妖星ゴラスが迫っていると危機を訴え、友好の証として怪獣を消滅させたのだという。
これにより、世界はX星人との友好ムード一色となった。
しかし、X星人のふるまいを不審に思った尾崎と美雪は、幽閉中であったゴードン大佐を味方に引き入れ、テレビ番組において、X星人の悪の陰謀を見破ってみせた。
醍醐も偽者だった。
X星人の参謀は陰謀を見ぬかれて焦る司令官を撃ち殺す。自らが新たな司令官となり、地球の武力制圧と人類の家畜化を宣言した。
怪獣たちが再び姿を見せる。
怪獣たちは世界各地の都市を破壊し、地球防衛軍の空中戦艦をことごとく沈めて行く。
ゴードンは尾崎らを引き連れ、地球防衛軍の地下ドックにある新轟天号に乗り込んだ。

行き先は南極。
最終作戦、「オペレーション・ファイナルウォーズ」の発動である。
X星人が操る怪獣たちを殲滅させるため、ゴジラを復活させようというのだ。
新轟天号は発進した。
はたしてゴジラは復活するか。
復活したとしても、自分たちに牙を剥きかねない。
危険な賭けであった。
そして地球の運命は?

これだけでも詰め込みすぎの感がある。
が、「インデペンデンス・デイ」や「マトリックス」や「スターウォーズ」「X-MEN」を思わせるようなシーンもたっぷり盛り込まれている。1998年のローランド・エメリッヒ監督作品「Godzilla」に対する返答も盛り込まれているので、注目である。
あと、この世界では地球防衛軍の空中戦艦がほぼ全滅で、新轟天号だけが残るというのが「さらば宇宙戦艦ヤマト」ぽくもある。

そういったわけで見所満載の映画なのだ。

東宝の怪獣映画に出てきた様々な怪獣が入れ代わり立ち代わり登場してきて世界のあちこちを破壊しまくってみせる。
ラドンにアンギラス、キングシーサー、カマキラス、クモンガにヘドラ、エビラ、モスラキングギドラ・・・
ミニラも元気に姿をあらわし、泉谷しげると共演を果たした。これが意外にもよく合っててなごむ。
さらに、海底軍艦・轟天号は地球防衛軍の主力艦として登場し、妖星ゴラス、X星人、インファント島、小美人と東宝特撮映画を彩ったあれやこれやが結集しているのである。

有名人のカメオ出演も隠れた楽しみ。
キャメラマンの木村大作さんが出ているのが個人的にはうれしい。



『ゴジラ FINAL WARS』は身も蓋もない言い方をすれば、東宝特撮路線の切れ端をつぎはぎした映画だ。 好意的に解釈すると、『ゴジラ』と東宝特撮映画を歴史を尊重しつつ再構築した映画である。
あるいはDJプレイのように様々な要素をマッシュアップしたものである。
その中にはハリウッドの数々のブロックバスター映画も含まれている。
ハリウッド映画からの借用は正々堂々としていて、むしろ清々しい。「邦画ではハリウッドの大作映画みたいなスケールの大きな映像はできない」 といったようなありがちな批判に対して応えたものかもしれない。

「ゴジラ映画」だとか「SF映画」とかのくくりを外して鑑賞したらいいと思う。
映画をまじめに鑑賞するという人、映画に一家言あるというような人は、見ないほうがいい。
腹が立つだけだ。
ネットに憤懣やるかたない気持を書き込むくらいしかウサを晴らす方法はないだろうし、そういった怨嗟の声はネットにたっぷり残されてる。

『ゴジラ ファイナルウォーズ』は、怪獣をわんさか出して戦わせ、X星人とミュータントのバトルを描き、ハリウッド的な見せ場もたっぷり仕込んだ「幕の内弁当」だ。 
北村一輝を見るためだけにこの映画を見てもいい。顔の演技だけで銭が取れる役者だ。
そして、ドン・フライのかっこよさとそれに声を当てた玄田哲章による、シブい吹替え。玄田哲章の演技を聴くだけでも見る時間を費やす価値がある。
ドン・フライは、日本刀を使った殺陣がカッコよく、他の役者を圧倒している。

ケイン・コスギおよび菊川怜の演技力に思いを馳せつつ、おすすめしたい。



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鑑賞したら、以下のテキストを読まれたし。

北村龍平監督 『ゴジラ FINAL WARS』独占インタビュー
http://www.cinematoday.jp/page/A0000744


夭折したSF作家が夢に見た『ゴジラ FINAL WARS』
http://d.hatena.ne.jp/Projectitoh/20041204

1 件のコメント:

  1. この映画まじひどすぎるよね。大多数の人がこう思ったはずだよ「金返せ」ってね
    「ゴジラ」の名前で見た人たちの阿鼻叫喚と憤怒沸き上がる展開。よく知った名前の俳優使っただけのチープな演技、演出。怪獣映画のように銘打っていながら個人アクションも見せようと頑張るが予算の関係なのかチープないかにもワイヤーアクションだと丸見えの動きが残念すぎる。監督はこれでよくOK出したもんだ。まあ文中にあるように作品としてみれば全力B級映画だ。それとわかってB級を楽しめる人だけにお勧めしたい

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