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2015/09/04

本当にあった呪いの心霊ビデオとか闇動画

レンタルビデオ店に足を運ぶ。

レンタルが解禁になった話題作が目当てで足を運んだのだ。
だが、その話題作は全部貸し出しになっていてアテが外れてしまった。
手ぶらで帰るのではない暇をつぶすすべがない。では、代わりに何か借りて帰ろうと、店内を周回すると、「実話心霊ビデオ」のコーナーがある。Jホラーが並んだ棚の、すぐ隣だ。
実話心霊ビデオの棚には、思いのほかたくさんのタイトルが置かれている。
けっこう人気のあるジャンルらしい。
手近なタイトルのパッケージを手に取ってみると、「実録心霊ビデオ」と赤い文字で書かれてる。
1週間100円になっているので、パッケージが怖そうなものを2本くらい選んでみる。


 本当にあった 投稿 闇映像 8

まず一本目は『本当にあった投稿闇映像8』である。

家に戻って、パソコンの光学ドライブにDVDを挿入して再生する。
ほどなく、液晶モニタに映像が映し出される。

ハードディスクから消去されたデータを復元する「データサルベージ」の会社に持込まれたとあるHDD。



HDDから動画ファイルが復元された。 それには、首吊り自殺をしようとする女の姿が映っている。







故障したHDDからサルベージされた動画、そこには首吊りを試みる若い女が自分で三脚を立てて撮ったものだった。
女は自らの首吊り自殺を映像で記録することを試みた。
しかし、首吊りに失敗。
その直後、女は錯乱する。



彼女が錯乱したのは、背後に女性と思しき怪しげな人物が出現したからだ。



『本当にあった投稿闇映像8』には、こういう映像が1時間くらい収録されている。
このエピソードでは、「HDDからサルベージされた動画」を紹介している。
データサルベージ会社は、顧客のデータを外部に流出させたというのだろうか。どこかの動画サイトにでもアップしたとでもいうのだろうか。
この業者は、顧客の情報を守るという守秘義務はないのだろうか。
また、この作品の制作会社及びスタッフはどのような方法でこの動画を入手したのだろうか。

『本当にあった投稿闇映像』シリーズはナレーションも聞きモノ。
<コワさ>を表現したくて声色に工夫を凝らした結果、「スネークマンショー」に出てくるアナウンサー・咲坂守のようになっているのだ。



続いて、2013年リリースの『Not Found 11 -ネットから削除された禁断動画』というDVDを見た。
ネット上にアップされていたが、いまは削除して見られなくなった動画を紹介するという趣向である。「禁断動画」はおもに心霊動画、ときにグロや過剰に暴力的な動画が紹介される。
このシリーズは<制作会社のスタッフが調査する>というのも売りである。というか、『ほんとにあった呪いのビデオ』の手法を踏襲している。
『ほんとにあった呪いのビデオ』は、実録心霊ビデオのパイオニアであり、実録心霊ビデオの方法論を確立し、数多くの模倣者を生んだ。


Not Found 11-ネットから削除された禁断動画-


 夜、ドライブするクルマが遭遇した怪異。
車載カメラに記録されていた映像。



深夜、車を走らせてると、突然女がフロントを横切る。外に出て確かめるが、女の姿はない。忽然と消えた。



不審に思いながらも車に戻って運転を再開する。
ほどなく、フロントを女が這い登ってくるのに出くわした!

『Not Found 11 -ネットから削除された禁断動画』は、グロい動画も収録されている。




枝切りの電気ノコギリの刃が勢い余って人の首に当ってしまったところが映像に記録されていた。
このシリーズでは、このような動画がモザイク入りで多数紹介されている。
友人の頭の上に載せたリンゴめがけてダーツを放つと右目に刺さり、引き抜いたら眼球も出てきた、という動画もあった。

このビデオシリーズは、「スタッフが取材する」と称している。
しかし、こういう深刻な事故なら新聞やテレビで報じられるはずだ。だが、該当する事故のニュースに当たるということはない。
「ネットから削除された動画」というが、YouTubeとかニコニコ動画にアップされていたんだろうか。海外のグロ動画サイトなのだろうか。
こういったことはナレーションでさらりと説明しておしまい。

ビデオとモザイクで<実話>は作られる


実話心霊ビデオと呼ばれるのは、収録された動画が<視聴者から投稿された動画を紹介する>体裁を取っているからだ。
本当に起こった怪異を、一視聴者がビデオカメラで撮ってしまった。それを紹介しているのだという趣旨だ。
心霊現象をカメラに収めた人がいつもビデオカメラを持ち歩いているだとか、スマホだとかのデバイスでしっかり撮影しているとか、まずそこに感心する。
紹介される映像は、画質の良くない民生用ビデオカメラや、暗い場所での撮影には弱いスマホの動画撮影機能で撮影されたものばかりだ。また、何年も前の映像や、大昔の8ミリフィルムに映った霊と思われる映像も紹介される。
場所はどうか。
廃屋、廃ホテル、廃病院などの廃墟となった建築物、深夜の神社や墓地など「心霊スポット」で撮影されたものがたくさんある。
いいのだろうか。廃屋と言っても所有者の許諾なしには入れないものではないのか?
「実話心霊ビデオ」は、住居不法侵入だったり、法律に違反して撮られた映像を使っていたりしないのか。

映像に映る人物の顔にはモザイクがかけられ、声も加工してある。人権に配慮してあるのだ。
その一方で、映像に映ってしまった<この世のものではない存在>は、モザイクはかけられないのである。




この公園で殺害された妊婦の幽霊だそうだ。公園で腹を割かれ、取り出された赤ちゃんが生きていたという。出現すると、オルゴールを鳴らすのだという。


とつぜん、フロントに現れた女性。
付近で置き去りにされ、行方不明となったOLがいるのだという。


夫の浮気調査を依頼した女性が調査の報告を聞きに来た。
その背後に出現した、生霊みたいな存在。

仮に、彼/彼女が以前、霊だとする。
死者には肖像権はないのか。

などということを、視聴しながらぼんやりと思った。


ほんとにあった!呪いのビデオ 64

『ほんとにあった!呪いのビデオ』のように、シリーズ累計64本にも達したという定番シリーズもいくつかあり、定期的に借りるお客さんも多いようだ。

「心霊」で怖さをたっぷり味わいたいのなら、映像よりも活字をオススメしたい。
想像力というソースは、恐怖を倍加させる。

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