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2017/12/11

そもそもスター・ウォーズはおもしろかったか?『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』

まもなく『スター・ウォーズ』の新作が公開される。

ディズニーが『スター・ウォーズ』の権利を買って以来、メインストーリーとスピンオフが交互に上映され、毎年の年末には新作が世界中のシネコンのスクリーンを占拠するようになった。
そのうち、寅さん映画のように長大なシリーズになるかもしれない。

今年は、メインストーリーのエピソード8。
ルーク・スカイウォーカーか、エピソード7からの主役らしい、レイのいずれかが暗黒面に堕ちるぽい宣伝をして煽っている。





そもそも『スター・ウォーズ』はおもしろいか?
自分に問いかけると、「おもしろくないのが多いですね」と言わざるをえない。

今までに6本、『スター・ウォーズ』の映画はあった。
しかし、面白かったのは最初に公開された『エピソード4 新たなる希望』とその次の『エピソード5 帝国の逆襲』だけではないかというのが個人的な感想。

『エピソード4 新たなる希望』は、冒頭のあまりにも巨大な宇宙戦艦に度肝を抜かれ、スペースオペラが映像化されたという事実に歓喜した。
これまでの映画にはなかった映像の連続に驚きつつも、正統的な冒険物語として楽しめる娯楽映画の王道なのだ。
『エピソード5 帝国の逆襲』は、帝国軍が圧倒的な戦力で逆襲に転じ、ルークやハン・ソロたちは危機に次ぐ危機を切り抜ける、文句なし面白く、感情を揺さぶる展開があった。
ところが。
『エピソード6 ジェダイの帰還』は観ている途中で飽きてしまった。子熊のパーティーを幽霊が見守る場面で目が覚めて驚いたということしか覚えていない。
のちにレンタルで見直してみたら、ダースヴェイダーの中身、アナキン・スカイウォーカーが白塗りのオバケのようで驚いた。

ルークの父の物語は「退屈」のひとことだ。

『エピソード1』から『エピソード3』はいずれも劇場には足を運ばなかった。だいぶ経って1本100円で貸し出しになってからDVD3本を借りてきて再生を始めた。
SFXもVFXも目覚ましい進歩を遂げて、作品世界にもそれが生かされているはずなのに、眠気と戦いながら画面を見て、しかし眠気に負けてついには鑑賞を放棄した。

もともとエドモンド・ハミルトンの『キャプテン・フューチャー』や『スターキング』のようなスペースオペラは好みだった。
だから、『スター・ウォーズ』の作品世界に没入できないのは好みの違いに過ぎないかもしれない。

『エピソード1』から『エピソード7』、おそらくは『エピソード9』までは、アナキン・スカイウォーカーとルーク・スカイウォーカー、そしてその血を引くものを中心にした〈ジェダイ〉の物語だ。
ファンタジー、宮廷ドラマ、武侠映画、剣戟映画で、どっちかというとヌルい。
尊い血筋の、特別な力を備えた青年が、運命に翻弄されたながらも自立してついには父を殺し、父を超える英雄となる。
神話のない国の神話、英雄譚のなかった国の英雄譚が『スター・ウォーズ』である。

久々復活した『エピソード7』は、飽きさせず見せる映画にはなっていた。
しかしながら、ストーリーが安直。敵の基地に簡単に潜入できたり、手放しで傑作と呼べる映画ではなかった。
登場人物も〈軽さ〉が先に立って浮ついて見える。

『エピソード8/最後のジェダイ』はどうなるのだろうか。
おそらくはルーク・スカイウォーカーから新しい主役たちへのバトンタッチが描かれるのだとは思う。
これは極めて単純な理由で、『エピソード4』以来のお客さんは歳を取りすぎていて、早晩ファンでなくなるからだ。
『エピソード8/最後のジェダイ』は、新しいファンを開拓するものになるだろう。
ディズニーは『スター・ウォーズ』を100年続くような映画にすると言っている。
次なる数十年、『スター・ウォーズ』にお金を使うファンを作る戦略を取るに決まっている。

『エピソード5 帝国の逆襲』を撮ったアーヴィン・カーシュナーのような職人監督と呼ぶにふさわしい力量を持った人であれば、ぬるい貴種流離譚も面白い作品にはなる。
『帝国の逆襲』に匹敵する作品となった『ローグ・ワン』くらいのめり込んで観られる映画になったらいいのに。
ライアン・ジョンソン監督の手腕に期待したい。






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