Pages

2010/08/20

初めて飲んだ薬とその効果

朝7時、京都から乗ったバスが東京駅の八重洲口に着いた。
降りた途端、天地がひっくり返っておれは薄曇りの空を見上げていた。足にまるで力が入らなかった。降りたばかりの乗客が「大丈夫ですか?」と声をかける。

一瞬、おれは脳梗塞にでもなって、カラダがうまく動かせなくなったのかとぞっとした。

柵につかまって、どうにかこうにか立ち上がることはできた。

登山用の重いバックパックを背負って、慌てて八重洲地下街に降りる。大丈夫だ。倒れはしない。まっすぐ歩ける。心配ない。
階段を登って、ふたたび八重洲通りに出た。どこかで朝食を食べようと思った。
すると、酔っぱらいの千鳥足のようにふらふらしてまっすぐ歩けない。おれは日本橋の駅に向かって、まっすぐ歩けないのをまわりの人たちに悟られないように、ゆっくり歩くが、やはり足取りはまっすぐにならず、膝がかすかに震える。胃の中に重い塊のようなものが現れて、かすかな空腹感を追い払った。
ああ、おれはどうなったんだ?
うわ言のような独り言を、向こうから来た眼鏡の中年男性が聞き留めたのか、いぶかしげな視線を向けてきた。
高島屋の日本橋店まで、おれはよたよたと、可能な限り周りを歩く人とクルマに注意を払いながら歩いた。

昨日、おれは京都のマンションにいた。カミさんが単身赴任で住んでいる。
突然、鼻水とくしゃみが止まらなくなった。
そのことを言うと、カミさんは自分の服用する鼻炎薬を2錠くれた。
それはとてもよく効いて、くしゃみも鼻水もぴたりと止まり、バスに乗り込んだ途端、おれは強い眠気におそわれて、次に気がつくと、八重洲到着を告げるアナウンスを聴いていた。
そして立ち上がり、バスから降りるとひっくり返った。

強い効き目と同じくらい、強い副作用があったようだ。調べると、鼻炎薬のなかにはふらつきやめまいの副作用をもたらすものがあるようだ。
それとも、おれは薬に弱いのだろうか?

約10分後、最寄り駅に着いた頃にはふらつきは消えていた。
が、頭にかすみがかかったような状態が今も続いている。

さて、薬の効き目が切れたら、おれはまたくしゃみと鼻水に悩まされるのか?
そうなったら耳鼻科に行って、薬を処方してもらう必要があるのだろうか?

八重洲の路上に転がった時、おれを見下ろす視線のなかには
<こうつ、ヤク中ちゃうか?>
といういぶかしげなものがあった。
そして立ち上がったおれは呂律が怪しかった・・・

0 件のコメント:

コメントを投稿