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2014/03/06

宇宙戦艦ヤマトの堕落史3|宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち

「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」は、「宇宙戦艦ヤマト2」によって「さらば宇宙戦艦ヤマト」の世界を黒歴史としたのち、新しく作られた<分岐した世界>を舞台にしている。「テレフィーチャー」と銘打って、テレビ用映画として作られ、放映された。


 <分岐した世界>とは、ヤマトでお金儲けするために創造された世界だ。

儲けたお金は主として西崎義展の豪華クルーザーやそこで繰り広げられた若い女をはべらせての酒池肉林の饗宴、グレネードランチャーや小銃などの火器による武装、麻薬をキメ、高い酒を飲むといいった快楽の費用に化けたのだ。




テレフィーチャー『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』
1979年7月31日放映 フジテレビ系(※1981年3月14日に劇場公開)



日本テレビ/読売テレビ系で「宇宙戦艦ヤマト2」の放映が終了したのは、1979年3月のことだった。フジテレビ系で「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」が放映されたのは、3ヶ月後の1979年7月末のことだ。

TVシリーズを放映した読売テレビ系列ではなく、フジテレビ系で放映したところは注目すべきことだ。
「さらば宇宙戦艦ヤマト」の大ヒットにより、「宇宙戦艦ヤマト」シリーズがテレビ局ではなく、プロデューサー主導で展開していくことがはっきりしたからだ。プロデューサーの意向によってメディアを選び、作品をコントロールするようになった。
この頃から「プロデューサー」という文字をよく見かけるようになる。当時、映画雑誌などでは角川春樹や山本又一朗とともに西崎義展を取り上げて、「日本にもプロデューサーの時代が来た」という記事を載せていた。
この3人のプロデューサーが組んで大藪春彦の「傭兵たちの挽歌」を映画化するという話があったはずだが、実現はしなかった。
で、西崎義展も角川春樹も麻薬をキメて服役した。

西崎義展の経歴を見ると、結局は「宇宙戦艦ヤマト」シリーズをたまたま当てただけだとわかる。
たまたま、である。
「宇宙戦艦ヤマト」に松本零士が参加せず、最初の頃のさいとうたかおの絵柄でアニメ化のゴーサインがでていたとしたら、たぶん話題に上るような作品にはならなかっただろう。
「海のトリトン」は演出に富野良幸(富野由悠季)を得るという僥倖があって成功した。
では、それ以外の作品はどうだろう。「宇宙空母ブルーノア」「光子帆船オーディーン」「YAMATO2520」本田美奈子主演の実写映画「パッセンジャー 過ぎ去りし日々」などを手がけたがことどとく失敗した。これらの作品のタイトルすら知らない人も多いのではないか。
「超神伝説うろつき童子」という18禁アニメはそこそこの成功を収めた。しかし、原作者・前田俊夫と西崎義展の間ではトラブルが発生した。ギャラの未払いでさんざん揉めたようだ。
「宇宙戦艦ヤマト 完結編」の後はヒットを出せず、興した会社は倒産、逮捕、服役という絵に描いたような転落を経て出獄したら「宇宙戦艦ヤマト」実写化という話が立ち上がり、「復活篇」制作を要求してこれを実現した。
最期は実写化の原作料をせしめ、そのカネで買った「YAMATO」と名づけた船から海に落っこちて溺死した。

余談が長くなった。



時に西暦2201年。都市帝国との戦いが終わって数カ月後。
「宇宙戦艦ヤマト2」において死なないで生き延びたデスラーが、母星ガミラスに行く。
すると、暗黒星団帝国がエネルギー源となる鉱物・ガミラシウムを採掘していた。怒ったデスラーが攻撃を仕掛けたところ、ガミラスが大爆発して消滅、重力バランスを失ったイスカンダルが暴走し始め、移動速度がどんどん速くなって、ついにはワープする。
デスラーはかつての仇敵ヤマトに救援を求める。デスラーの懇願を聞いた古代進は、暗黒星団帝国と戦いを挑む。
イスカンダルが長距離ワープしたとはいえ、ヤマトはわずか数日でイスカンダルに追いついてしまう。「はるばる望む」イスカンダルではもはやないのだ。
ヤマトは古代守とその娘サーシャを救出する。
スターシアはイスカンダルもろとも、暗黒星団帝国の自動惑星ゴルバを巻き込んで自爆。
そう、西崎義展が大好きな自己犠牲の「大いなる宇宙愛」である。

これ以降、地球を滅亡の縁まで追い込んだデスラーはヤマトの盟友になり、「宇宙戦艦ヤマトⅢ」や「宇宙戦艦ヤマト 完結編」にも登場する。
聞くところによると、デスラーを主役にした「デスラーズ・ウォー」などという企画もあったが実現には至らなかった。




「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」、作画では「完結編」まで作画監督を務めたのは、宇田川一彦だった。以後、「ヤマトよ永遠に」「宇宙戦艦ヤマト 完結編」まではこの人の絵柄で作られていくことになる。
目がタレ気味なのが特徴だろうか。あと、時々、デッサンが怪しくなる気がする。














作画は総じて粗雑。
セルの傷なども目立つ。それを「懐かしい」と思える人はぜひ、ご覧いただきたい。






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