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2013/07/16

松本零士:「まほろば」映画化はまぼろしか?

今年は、久々に松本零士のマスコミ露出が増えるかもしれない。
久々のアニメ映画「キャプテン・ハーロック」が公開されるから、プロモーション絡みでテレビや雑誌に登場する機会が多くなるだろう。

今年、松本零士原作のアニメ映画がもう一本公開されるというニュースがあった。
「Cosmo Super Dreadnought まほろば -超時空戦艦-」という長ったらしいタイトルの映画だ。




 アニメ映画「Cosmo Super Dreadnought まほろば -超時空戦艦-」の制作がアナウンスされたのが、2011年12月だった。
ネットに出ている情報は以下のようなものだ。


以前に小学館から発売された事もあるあの幻の作品『戦艦まほろば』が内容も新たに、しかもこれまでの「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」や「千年女 王」などの全ての作品を内包したという凄まじい映画になり2013年全国ロードショーになります。どうりでトップシークレットだったワケです、会見を見て 中身の豪華さに驚きました。またその哲学にも感銘を受けました。

板橋克己先生もデザイン中!松本零士先生新作「超時空戦艦まほろば」2013年全国ロードショー!! 

-「超時空戦艦まほろば」はこれまでの松本零士キャラクターの集大作でもあります!-
-どんなキャラクターとデザインが集うのか楽しみですね-
松本零士先生トークショー・超時空戦艦まほろば

印象として宇宙戦艦ヤマトがイメージされますが、大YAMATO零号とダンガードA、ニーベルングの指輪が合わさった作品になる気がします。
松本零士新作アニメ映画「超時空戦艦まほろば」2013年公開予定!零士ワールドサミットでパイロットフィルム上映!

 情報は、松本零士のグッズを売っているサイトやブログにしか載っていない。今のところ、公式サイトは存在せず、アニメ情報サイトには情報がない。
イベントで上映されたパイロットフィルムは興味深い。見ることはできないんだろうか。



「Cosmo Super Dreadnought まほろば -超時空戦艦-」は、著作権裁判の敗訴を受けて頓挫した「新宇宙戦艦ヤマト」や、パチンコとしてはお金を生み出したが、作品としては失敗して悲惨な出来になった「大YAMATO零号」をなぞるような企画に思える。
「松本零士世界の集大成的な作品」らしい。
けれども、松本零士は少ない引き出しから取っ替え引っ替えネタを出しているだけだから、また<いつかどこかで見たようなもの>になるのだと思う。
たぶん、「宇宙戦艦ヤマト」によく似ている宇宙戦艦が出てきて敵と戦うというような話なんだろう。

しかし、先ほど書いたように、公式サイトは存在せず、アニメ情報サイトをチェックしても情報は一切ない。
2013年も後半に入ったのに、制作の動向が伝わってこない。

企画が中止もしくは中断したのだと思う。

で、そうなった原因は「宇宙戦艦ヤマト2199」のブレイクに拠るところが大きいのではないかと邪推する。
「宇宙戦艦ヤマト2199」はDVD・Blu-rayのセールスで大成功した。その中核となる購買層は中高年層である。
そして、「まほろば」も想定される顧客は「ヤマト」や「銀河鉄道999」を見て育った世代、すなわち中高年層である。松本零士の名前を知っているのは、もちろん30歳以上の世代に限られる。
想定される顧客が「宇宙戦艦ヤマト2199」に食いついて旺盛に消費活動をしている。彼らが「まほろば」に食指を動かすとは考えにくい。
それに、中高年の松本零士ファンだった人たちは松本零士の無残きわまりない劣化を目の当たりにしているのである。
アニメに傾倒して巨匠ヅラしてからというもの、本業のマンガはスカスカ。
肝心のアニメもあっという間に消費されて市場価値を失った。
「銀河鉄道999〜エターナル・ファンタジー〜」だとか「大YAMATO零号」 を見て「Cosmo Super Dreadnought まほろば -超時空戦艦-」に期待しろというほうが無理だ。
手垢の付いた惹句、<大宇宙のロマン>溢れる、その実スカスカな物語に誰が目を向けるのだろうか。
松本零士ファンの多くは、「宇宙戦艦ヤマト2199」の面白さに触れてこころを癒している。松本零士の手を離れて創られた、極上の<松本零士的な物語>に出会った物語に歓喜している。
ヤマトによく似た戦艦が出てくるものの、「ヤマト」ではない物語を見るために、<大宇宙のロマン>とやらだけを味わおうと映画館に足を運んだり、DVD・Blu-rayを買ったりするだろうか?

ほかのエントリーでも書いたが、松本零士はとうの昔に賞味期限が切れている。

松本零士を看板にして映画を制作しても、ビジネスにはならないだろう。
あと、「銀河鉄道999」をまた作るという噂もあるようだ。だれがそんなものを企画するんだろう?
似たような話をグルグル廻しているだけのあの物語が、いま必要なのだろうか。






6 件のコメント:

  1. ヤマトにはつきあってるボクも松本零士さんは厳しいなあ。
    おしゃるように賞味期限切れでしょうか。
    STAR WARSのルーカスのようにコンテンツとして売ればいいと思うのになあ。
    ドラゴンボールのようにとんでもないものになることは確かにあるかもしれないけど、偉大な松本先生はそろそろ次世代に託してもと思います。
    ハーロックは福井さんの脚本がボクも気になります。
    ただ、絵がひどいなあ。アバターくらいのクオリティは難しいのかなあ。

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  2. ヤマトに関してはこの答えが正解でしょう。

    http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1391767093?fr=rcmd_chie_detail

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  3. 小説「GALAXY EXPRESS 999 ULTIMATE JOURNEY」を読むと
    999も決して完結させられない無理な話ではないですね。
    ただし完結させたのは別の人で、もう老人となってしまった松本氏には
    物語を生み出す力はないと思います。
    あそこでヤマトにこだわらず、抱えていたマンガの完結に力を注いでいれば
    現在こうまで言われることもなかったでしょうに。

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    1. > ただし完結させたのは別の人で、もう老人となってしまった松本氏には物語を生み出す力はないと思います。

      CG映画「キャプテンハーロック」では福井晴敏や荒牧伸志の力を借りてみたものの文句をつけてちゃぶ台返しをしちゃいましたね。
      「キャプテンハーロック」の失敗で、アニメ界は松本零士を今度こそ見限ったでしょうね。

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  4. ニーベルングの指輪も酷かったですからねえ。
    ワーグナーのニーベルングの指輪を題材にするなら、それを題材にしたリブート作品でも作らないと、元が強烈に出来が良い楽劇ですからねえ。
    更に名演も一杯。


    自分がやりたい事と、客が求めている事との乖離が最近の松本零士は全く見えなくなっているのでしょう。

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    1. 漫画家としての松本零士は、アニメがもたらしたブームに胡座をかいた80年代で終わっていたように思います。
      もともと短篇型作家だったはずが長編に手をつけたら、ひどい結果になってしまいました。
      手抜き、水増し、話が進まない、面白くないでは読む人はいなくなるのは当然でした。
      「ハーロック」3Dアニメの無残な失敗によって、作家生命も喪失したというのが私の意見です。

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